衣更え

 教室の中が一気に白くなる。しかし家ではストーブを焚いた。田植えの頃、寒くなるというのは本当である。田植えは市内では殆ど済んでいる。
 
 部活は衣装を着けて通し。後半のみ観た。冬服が衣装になっているので、今日持ってきていない者が多かった。56分と、部室の広さでやったにしては、意外に時間がかかった。転換が上手くいかない部分、明後日まで修正できるか。主人公はずいぶんと良くなった。
 
 
 30年近く前、運動部顧問をしていた時分、青森県の海辺の町に遠征したことがある。宿舎から海岸まで部員と散歩したとき(朝か夕方かも忘れてしまっているが)小学生が何人かで遊んでいた。ふと、自分の目が1人の女の子の左手に止まった。手首から先がなかった。次の瞬間、その子と目があった。
 帰り道、再びそこを通ると、小学生達はまだ遊んでいた。あの子も…。ただ、その左手首には義手がつけられていた。
 自分は思った。あの子は、友達と遊ぶのには手のないことなんか関係なかったのだ。他人の好奇の目を感じたとき、多分親から言われているように、手がないといけないと思ったのだろう。自分の目が彼女にそう考えさせたのだ。あの子は大きくなって、どんな人生を送るのだろう。育てる親の気持ちはどんなだろうと。それが今回の公演の作品のモチーフの一つになっている(全部ではない)。
 
 その人の心、感じ方は、その人にしか分からない。「悲しい」といっても、どれほど、どんなふうに「悲しい」のかは、直接にはなかなか人に伝わらない。だが、できるだけその人の感じたのに近い感情を、芝居を観た人に感じて欲しい。そんなことを思っている。
 
 県高文連から、全国高総文祭への参加申し込み書を出すように言われる。用紙が来ていないというと、福島に連絡してくれて、総文推進室からメールで送ってもらえた。ただちに記入して校長印をもらい、県高文連に提出した。3日〆切りに間に合うだろう。ただし、演劇部門は遅れても大丈夫だとは思うが。
 県からの補助金の額については未定だが、展示部門で倉庫が分散したことから運搬費用が3倍かかるとのこと。1往復50万円とか。吹奏楽が取りやめても、これでは演劇への補助が増えるかどうか分からない、と言われる。