日本人の平均年収  衆議院東京15区補選候補者討論会から

 衆議院議員補欠選挙の東京15区に9人の候補者が立候補し、告示日に「立候補者討論会」があった。ネットで視聴した。立憲民主党の候補者は欠席だった。なお、一人は選挙期間中にヒマラヤに行くということで、どういうつもりで立候補したのか全くわからない。

 NHK日曜討論(「Sunday Debate」と称するが全然ディベート形式ではない)のごとく、各自がほぼ嚙み合わない言いっぱなしだった。高校生が大学入試のために練習してきた面接のような話し方の候補者もいた(自分は随分と面接の指導をしてきたからよくわかる)。国会議員になるのと大学入試や就職とでは全く違うと思うのだが…。

 

 中で日本保守党の候補者が国民の平均所得を他候補たちに問う場面があった。これに対し、一人が「477万円だったか…」と答えたが、他は声無しだった。発問者は「230万円です」と言った(今、金額や言葉など正確には思い出せない)。(正しくは「238万円」のようです)常識的には450万円程度と知られていると思ったのだが、このことで疑問を呈したり訂正しようとする他候補者もいなかったし司会者も流していたと記憶する。

 調べてみた。ある資料では、日本人の平均年収445万円(内訳、給与369万円+夏冬賞与平均額 76万円)とあった。まあ大体そんなものだろうと思ったが、さらに「中央値」をみれば、年収396.7万円という数値があり、この方が庶民の実感に近いだろう。

 では「230万円」「238万円」という数字はどこから出てきたのだろう。

 給与所得者の平均所得は今見た通りだろうが、無収入の人(子供など)もいれた国民一人当たりの金額ということではないかと思った。

 

 それで世帯当たりの統計をみてみると、厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」【一部抽出調査】は下記のようになっていた。

 一世帯平均年収    545.7万円(2021年)
 世帯数        54,310(2022年)
 世帯人数       2.25人(2022年)

  単純に割った一人当たり年収 242.5万円

 

 また別の資料では、

 日本人の世帯年収  552万円(2018年)
 世帯数       55,705(2020年国勢調査
 世帯人数      2.21人(2020年国勢調査
  単純に割った一人当たり年収 249.7万円

 

 勤労所得(給与所得)のある人が一世帯に何人いるか。共働きに無収入の子供という世帯も多いのだろうが、単純に一世帯の平均人数で割ると、一人当たり収入は242.5万円とか249.7万円になる(3年間で7万円減っているようだが、正確に対比できるかはわからない)。年度によって、また調査範囲によってこの数値は変わるので、230238万円程度の数値が出てくる資料もあったのかと思う(今その資料を見つけられないが)。

 日本人(老若男女問わず)一人が一年間を240万円ほどで生きているということになるが、これは単純な平均値であって、中央値から計算すれば、200万円を少し越えるくらいになるかもしれない。

 さらに年金生活の高齢者夫婦の収入は上記の統計には入っていないだろうが、厚生年金と国民年金で月26万円(年収312万円)くらいだろう。しかし、実際にはここから社会保険料や税金が10~15%引かれるので、実質年収270万円程度になる。これを二人で割れば135万円。貯金を崩しながら生活しているのだ。決して若い人と比べて楽ということは無いのがわかるだろう。まあ、若い人が親世代と同居せず、住宅ローンなどを抱えれば別だが。

 

 こうして見てみると、意外に「国民の平均収入(所得)はいくらか」というこの発問は、「平均年収」という言葉・数字を、単なる数字として知っているかではなく、国民の生活実態と結びつけてどう認識しているかが問われたものだったのではないかと思えてくる。実際の議論はさっぱり深まらなかったけれど…。 

 

 暇なので毎日youtubeなど見ているが、他候補に対する選挙妨害の為だけに立候補したとしか考えられないゴロツキのような者が好き放題に暴れまわっている。なのに、警察が介入しない、できない現状は、民主主義の根幹である選挙の自由を脅かす非常に憂うべき危険な状況だと強く思う。選挙管理委員会検察庁も真剣に考えるべきだ。

 幸に、日本保守党の場合は、聴衆が一丸となってこのならず者に対し候補者を護ろうとしている。胸熱くなることである。