置賜農業高校第12回定期公演

 6月27日(日)13:00、18:00の2回公演 (夕方の回を観劇) 「カノン」作、野田秀樹 上演時間2時間28分 川西町フレンドリープラザ(言わずと知れた「遅筆堂文庫」のある施設) 観客50くらいか。客席を幔幕で仕切って、前の方にだけ座るようにしてあった。
 雨の中、渋滞の国道13号を南下、開演に遅れて入場する。顧問で演出のN先生が受付にいてパンフをくださる。舞台は大黒幕を引き、黒い地絣を敷き、非常灯も消してある。四角の黒い高い柱が9本立っている。中央奥に「民衆を率いる自由の女神」の大きな絵を描いた幕が下げてある。
 照明は90シーンだそうで、ピンスポも多用。恐れ入る。半端でない衣装、小道具は全て手作り。恐るべき底力である。役者の声も、とても良く出ている。(さすがにあの膨大な台詞を続けると最後の方はややかすれるようだが)太郎、次郎、天麩羅判官は女の子がやっているが不自然ではない。むしろ女の子なので沙金と抱き合うなどの場面は思い切ってできる。
 前半やや眠くなるが、途中休憩後から40分が、俄然展開が速くなり面白くなる。絵から銃を取り出し、客席に向かって構える沙金がアラブゲリラに見える。構えが堂に入っている。もっと近い席、平土間で見たら恐いかも。
 脚本はすばらしい。言葉の音と意味が重なり、観客を翻弄する。高校生の体と声でその脚本を表現しきれないのは当然で、これ以上はなかなか望めないだろう。昨日の山形東とはまた違った良さがあった。ただ、音響が、選曲はいいのだが、SEのタイミングが合わないのが玉に瑕。
 昨年だったか一昨年だったか?も、この部は「キル」を上演していて、それも観たが、やっぱりすごかった。名取市での東北大会で、青森の「河童」には及ばなかったが、準優勝した実力を持つ部である。
 年間40ステージをこなす、その勢いに敬服する。これも山形市に来て上演して欲しい舞台だった。