劇団めざましどけい ALARM50

「テイク・ザ・マネー・アンド・ラン」作、ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出、原田和真
12月17日(金)18:30~ 県生涯学習センター遊学館ホール
上演時間1時間59分 入場数40~50か。
 
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 緞帳は開いている。船のデッキらしきセット。上手が切れている(黒いパネルで袖からの出入りは隠してある)が、そこから下手にパネルで4間半くらいのセットが組んである。1間幅の売店、スピーカー、ドア、ベンチ、灯り、階段(7段、手摺り付き)。140㎝くらいの高さに上って2階があり、自動販売機と出入り口。パネルは汚しができている。舞台上手にはイス2脚と丸テーブル。売店の引き戸はスムースに動いていた。自動販売機は遠目には十分の出来で、象の(鼻の)出現も上手くできていた。音響・照明の効果も良かった。出入り口のドアは、レバーはちゃんとしたものが付いているが、ドア枠がなく、板だけが開閉するのでちょっと安っぽい。壁の厚さというものも欲しい。また、出入り口の裏にカガミがないのでホリゾントが見えてしまう。
 照明が意外に凝っていて、これが効いている。しかし、凝ったせいか、地明かりが暗い部分があった。前明かりがムラになっているのだ。このホールには、シーリングはあるがフロントがないので前明かりは注意が必要だ。サスの1回路の容量も少なかったような記憶がある。
 初めの方でやや台詞の聞こえが悪く(マネージャーや船長が今ひとつ)、眠くなる。台詞の間もあまり計算されておらず、反射的に出る感じだった。演技がもう少し深まると良いのにと思った。船長や船員はそれらしくなってはいるのだが、少し軽すぎるような気がした。誘拐犯夫婦と老婆が出る辺りから良くなってきた。この、夫役の台詞が明確である。
 非現実的な話が繰り返され、それぞれの登場人物の関係も複雑に絡んでいる。いずれもお金がないことからくる悲劇のようである。その中で、耳男の存在が特異である。狂気と暴力の体現者となっているのだが、役者は好演していた。もう少し大柄だともっといいのだろうが。
 お話は、ホテル形式というか、10数人の登場人物の話が平行し絡み合いながら進行するが、特に中心的な筋はないようだ。巨大地震からの避難船、向かうところは島、としか分からない。すべては死者たち(象を含む)の見る妄想?という落ち。
 
 「めざましどけい」はALARM1を観ているはずだが、もう50回か。途中ずいぶん観ないで抜けている。
 この作品は7~8年前に、テルサアプローズで「深海魚」が上演したものを観たことがある。「深海魚」は、市内高校の3年生演劇部員が卒業前に自主的に集まって1年に1回だけ公演した集まりの呼称である。代替わりしながら5回まで続いた。その2回目かに上演したのがこれだった。今にして思えば、各校の精鋭ばかりが集まったのだから上手かった。今回の舞台にもひけをとらないものだった。老婆の笑いや、耳男の凶暴さがまだ眼前によみがえる。「深海魚」は、最初は日大山形や山形北高などの生徒が中心だったようだが、最後には上山明新館だけの舞台になってしまった(「私の愛した白熊」の白熊役の子が中心)。最後はラーメンズだったなあ。その前は「ウチハソバヤジャナイ」だったかな?