劇団ぬ~ぼ~第97回公演

「マンザナ、わが町」作、井上ひさし 演出、樋口陽子
平成22年12月19日(日)13:00開演
米沢市市民文化会館 入場料500円(中高生300円)
上演時間(2幕、休憩10分含む)3時間17分 入場数 80~90?
 
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 年に2~3回の公演をしている、地元米沢の劇団。この劇団の芝居を観るのは初めてと思う。ずっと前にアマチュア劇団のリアリズム演劇だかの全国大会?が米沢であって、それを観たが、その時何かやったかもしれないが覚えていない。
 緞帳が上がっていて、白紗幕が降ろしてある。ここをスクリーンにして、最初と最後に説明文や写真が投写される。紗幕が上がると収容所の1棟の中。中割幕が閉めてあって、2カ所の窓の所だけがたくし上げてあって、奥の山の書き割りとホリゾントが見える。ただし窓が小さいため、角度によって遠見がどう見えたか心配。(この中割幕というのは曲者で、照明が当たるものだから常に存在を主張する。奥行きを必要としない芝居の場合、閉めるのが普通と思うだろうが、意外に邪魔である。)
 上に吊った梁も中途半端な感じだった。これがあるのでサス灯りに影響があったかという気もする。いっそない方が潔いと思うが、どうせ吊ったなら、電灯はこの梁から下げるべきではないか。下手に出入り口。これが普通の家屋のドアのような、ドアノブが付いた片開き。これは、こまつ座では納屋の板戸のような作りで大きく開くんじゃなかったかと思う。開け閉めすると砂嵐が吹き込むとかいう設定もなかったかな? 要するに、収容所という感じがあまりしない、コテージ風な?セットだった。
 木製ベッドが上手に3つ、下手に2つ(横向き)。中央に木製テーブルと丸イス。奥に錆びたストーブ(新品の煙突付き)。これには明かりが仕込んである。
 舞台間口がやや広すぎて、上下の移動は頻繁だが、役者同士の距離が遠く、緊張関係が見えにくいときがあった。
 衣装、小道具は良く用意してあったと思う。音楽は、ポータブル蓄音機から出る設定で、タイミングが良く合っていた。やや大きめだったか。無音の長い暗転があったが、音楽が必要ではないか。
 
 ジョイス立花は声が出ていたと思う。オトメ天津はもう少し女浪曲師の図太さが欲しかったが雰囲気は出ている。リリアン竹内は歌がメインだが、今ひとつ歌い切れていない。他の人も、ピンで拾っているんだから、自信を持って歌って欲しい。サチコ斎藤は1幕と2幕で一変する役だが、好演していた。1幕ではオーバーすぎて何をしゃべっているのか分からないときが多かったが、2幕が良かった。ソフィア岡崎は理知的な女性の雰囲気が出ていた。最後に大統領への手紙で、この作品のテーマに触れるところは感動的になっていた。
 
 このところ、3時間を超える井上ひさし氏の大作を続けて観たわけだが、氏の大作をやるのは難しいと再認識する。台詞の量が膨大で、作者の頭の中にある知識と思考と感情を凄い速度で伝えなければならない。役者はこれを覚えるだけで相当の労力となる。今回もかなりの言い直しがあったし、順番を間違ったりしていた。それでもう観客は引いてしまう。また、今日の場合は台詞の間があきすぎで、前の台詞の後に、(うん次は自分だ、それ)というような間が時々あった。相互の台詞の関係で心情が深化していくというより、各自勝手に感情を出し合っているように見える。そこは稽古の要だ。
 
 1幕1時間半の間、暖房が無く、観客皆震えながらの観劇。鼻や耳が冷たくなる。こないだに続いて寒い観劇となる。車イスの方もいらっしゃった。こりゃ何の呪いだろう? 休憩時間にはトイレと自販機に列ができた。2幕は暖房が入ったが、ダクトの音が結構うるさかった。