劇団楽天夢座 25周年記念 第34回公演

 「こどもの一生」 作、中島らも  演出、楽天十郎
 平成25年10月26日(土) 18:00開場 18:30開演 20:29終演 挨拶終了20:31
 山形市中央公民館ホール  入場数180以上か(未確認)
 前売り1000円 当日1200円 中・高校生無料  招待券で観劇
 
イメージ 1 パンフレット
 
 
 音楽と共に幕開き。舞台黒地がすり。上手框にストロボ、下手框にころがし。大黒幕。中割幕のラインに7尺ほどのパネルが横に並んでいる。上・下3間ずつ。上部はそろっておらず、凹凸の段がある。上・下対称の位置に窓がある。枠だけだが、この枠がいつのまにか一部欠けたり曲がったりしていく。後には暗転中にベニヤ1枚ごと外され、歪んだ絵(パネルに直に描いてある)になる。これは、次第に非現実の世界になっていくという表現。丸椅子が7脚。
 中央1間と少し開いている。初め、その前を可動式(キャスター付き)の4枚のパネルが隠している。その裏からと上・下の袖から登退場する。可動パネルの裏には「MMM療法」の要点が書かれたボードが貼ってあり、取り外して見せる。後で中割幕が狭まり、壁が隠され可動パネルが開くと裏面は黒く、洞窟の中となる。中央中割幕をまくって洞窟の入り口を表現。奥は2段の階段になっている。奥から目つぶし。
 洞窟の場面になる際、ドライアイスとスモークが使われる。ただ、暗転が長くて(声だけが流れる)せっかくの大量のドライアイスが、見えないうちに消費されてしまった。この辺のタイミングは、音響や照明についても言えるがリハーサルでは十分に合わせられなかったようだ。
 舞台美術は、孤島のセラピーホスピタルという設定に合っているだろう。ただ、中割による転換のために横一直線になっていて、やや平面的な感じを受けた。(背景遠くに灯台が見えていても良かったか)
 
 1990年初演の作品。23年前、バブル崩壊の始まった頃だ。時代の予兆とも言うべきか、漠たる不安を感じさせる。それは、社会生活の中で自制を強いられることから生まれるストレスが多くの人の間で共振し、現実に対して何らかの影響を与えてしまう(与えている)のではないかという不安かもしれない。作者の躁鬱症、薬物・アルコール中毒がもたらした不安でもあるだろうが。
 2時間の中で、最後の30分になって「山田のおじさん」が登場、最後の10分が洞窟の場面。大人がこどもになっていく経過が1時間半では長すぎるような感じ。山田のおじさんの登場からはじわじわと怖さが迫ってきた。洞窟まで追ってくるのも怖かった。ただ、首が飛ぶといったホラーは、お化け屋敷的であまり怖くないかもしれない。ラストシーンは現実への回帰、すべては治療だったのだという結末か。
 初めの内は固い感じで、会場も反応しづらかったようだが、やはり山田のおじさん登場から一気に芝居の流れが見え始めた。前半の暴力的シーンも、もっとリアルにすると緊迫感が出ていいかもしれないと思った。
 役者さんは男5人、女3人。慣れた感じだが、前半もう少しはじけても良かったか。
 
 25周年記念ということもあってか、他のアマチュア劇団の方々が多数来場していた。これだけ長い期間活動を続けるのは並大抵の事ではない。新庄からO江先生がいらしていた。
 検索してみて、作者は自分と同年同月生まれだと知る。