寒くなった。朝は10度を切る。

 ニットのベストを着る。下着も増やした。ウインドブレーカーを羽織って通勤するが、街行く人も多くはコート姿だ。
 職場の中庭にある石榴、去年の実が落ちないまま真っ黒になっている。そのそばに今年の実が残っている。まあ3世代が同時に下がることはないだろうが。
 
 
 県大会審査員講評文が届きましたので、うちの上演の分を掲載します。
 原文は肉筆で、PDFで送られてきました。それを自分が忠実にタイプしたものです。ただ、黒羽氏は漢字を旧字体で書かれているのですが、新字体にしています。
 いずれも全くその通りですと肯ける内容です。ありがとうございました。
 
 地区大会の講評文と併せて、脚本も読んでいただけたらと思います。(「高校演劇脚本」の書庫にあります)
 
 
 
成田 健 氏
 
 講評のようなもの(メモでごめん)
 観念の世界を目に見える形で表現した意欲作。旧式のロボット(ルンバ)のデザインがいいね。中に入っているのが人ではなく機械の声が聞こえてきたらもっとビックリしたな。
 演技について、セリフとセリフの間、ブレスを取る所、もう少し削れるといいかもしれません。役者のやりやすいスピードで作ってしまっている。
 「意識する力」=伝わる力。
 意識をその遠くの地点まで「飛ばす」。
 意識をしっかりと目的の地点まで届かせる。
 「音としての声」は響いても、「意志としての声」は届かない。
「生徒諸君は実に良く奮闘しました!」           
 
 
 
阿部 順 氏
 
 プログラムの言葉以上に難しい話ですが、よく仕上げたな、と。ラストの5分間ググッと来るものがありました。ハルナがルルを殴っている時の冷徹に座る調査官たちの描写がちょっとこわかった。
 さて、その前の55分間どのようにもっていくか。
 どうしても未来物となると説明が多くなってしまう。最初から説明で入るより、ハルナとルルの会話などで入った方が、観客を引きつけやすいのでは。
 ルンバの扱いをもっと前面に出すとコミカルなシーンが出来上がりそう。能を入れたのは意外性があってとてもおもしろかった。もう少しわかりやすく関連づけてほしい感じがした。
 人間の演技、P・Rの演技、あまりはっきりわけてもどうかな、と思うが、確実に違う部分を取り入れるのもおもしろいのではないか。この作品の世界観よく出ていました。
 
 
黒羽英二 氏
 (大会全体について)
 山形大会は2度目ですが全般的にレベルが高くしかも今回のように高校演劇60年の中でも珍しい新作(先人のものをナゾったものではない)が出て来て、大いにたのしみました。将来が期待できます。がんばってください。
 
 
 (本校上演への講評)
 100年後の22世紀初頭に場を設定して、人口激減(70億→7000万)して1人がロボットを3人ぐらい使わないと社会が成立しなくなった社会での悲劇を描いた近未来SF仕立ての劇で、大いに興味を持った。→これは絵空事ではなく、事実として、100年ほど前まで、1説には5億羽とも10億羽とも言われるほどたくさんのリョーコー鳩というハトがアメリカの空を覆ってしまい、陽が射さずにあたりが暗くなるほどだったものが、10年前後の短い期間で絶滅してしまったとのことで、今や「放射性廃棄物」を処理できないまま世界中でゲンパツ(原発)を作り続けているので、リョーコーバトより早く70億→7000万になるのは必至と考える作者(私もそう思うが)が人間「ハルナ」のパートナーロボット「ルル」を通して、舞台を作り、結局、絶望の果てに眠るしか無い道を選ぶまでの姿を見せてくれたものである。
 進化の果てに人間と同じように「恋」を願うロボットだが、この「恋愛」という感情だけはついにロボットには伝わらないという絶望を、小野小町深草の中将、等古典を通してロボットを重ね、ロボットの怖さ、ハカナサを描いて絶妙の舞台となった。ホータイに巻かれて片眼だけしか見えない車イスのルルをどんと劇の真ん中に据えて、展開する舞台はそれなりの迫力を見せたものの、視覚的には人間とロボット等の動きとせりふが不明なまま劇が進んで行って終わったのは惜しまれる。視覚的にわかりやすくしての再演に期待する。
 
 (最後の1文、複写では切れていて判読できませんでしたが、県事務局から黒羽氏に問い合わせていただき、完全な文章とすることができました。)