雨から雪に すぐそこの山まで白くなった

 県大会のもうお一方の審査員講評をいただきましたので、うちの上演についての部分と全体的な講評の部分を掲載させて頂きます。ありがとうございました。
 
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 山形県大会講評文   阪本龍夫
 
 本当にいい大会でした。部員諸君も先生方も丁寧で礼儀正しく、やさしい風土とともに心洗われる思いでした。3日間で13本の作品は見応えがありました。大阪とは違う自然の中の立派なホールで観せていただいた作品は、改めて私自身の勉強になりました。ありがとうございました。
 審査結果については、審査員3人の感性や演劇観の結果です。演劇的に、それぞれの心に響いたものを基準にして話した結果です。優劣ではありません。3人のメンバーが異なれば、結果は違うかもしれません。各学校の生徒さんが努力を重ねたものに、順位をつけることは本当に心苦しく感じました。私もまた、大阪では審査される側なのですから。
 
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上演7 山形西高校  「さくらながるる」
 
 戦争中、戦後を描くことは今の時代にこそ必要だと思います。この劇に取り組まれた姿勢に敬意を表します。幕開きの語り手がそのまま劇中に入っていく手法はおもしろく、有効だと思いました。役者さんたちの演技も落ち着いていて、しっかりと演じられていたと思います。姿勢の良さ、上品さを感じる演技でした。ただ、装置がやや奥に置かれており、全体的に奥での演技になった場面が多く、もったいないと思いました。
 一番もったいないと思ったのは、台本の構成です。放火で焼失した山形第一高女の再建の話が中心であるはずなのに、最後の第5場が戦中の話になっている点です。勤労動員先の工場の寮で空襲に遭い、生徒も先生も多くが犠牲になったというエピソードは描きたいと思います。ラストの「そのときから私は少し桜が嫌いになりました」という台詞は大変いい台詞です。最後にもっていきたいと思います。ですが、やはりそれまでの展開と遊離した感が否めません。4場の途中にでも挿入することがで出来れば、ラストがさらに締まった印象になったかも知れません。
 
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 以上思うままに書きましたが、どの劇にも作ることに腐心した皆さんの努力を感じました。演技や演出、スタッフワークなど、少し学校によって差がありましたが、劇に掛ける思いはよく伝わりました。ありがとうございました。また観る機会があればうれしいと思います。大阪とは違う感じの劇も多く、勉強になりました。ありがとうございました。
 
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