劇団めざましどけい ALARM53

 「中二階な人々」作、阿藤智恵 演出、小澤五月
 平成24年4月22日(日)18:00開演 19:42終演
 公演は土曜・日曜で3ステージ、最終上演を観劇
 県生涯学習センター遊学館ホール(キャパ300席)
 入場料500円(前売り400円、招待券で入場)入場数30人程度か
 
 緞帳開いている。3間幅の尺高の部屋。奥行き2間くらいか。ここが中2階である。中割幕が狭めてあって、その裏に登退場する。上手が1階、下手が2階の設定で、手摺りつきの階段がある。
 部屋には下手から各5段、3段、3段のカラーボックス。ソファ。その前にテーブル。4段のカラーボックスがある。コーヒーポットなどが置いてある(居間的空間)。
 背景はホリゾント幕(場転のときに色が付き、激しく変化する)。
 中割幕前の部屋以外の空間は照明が当たらない。しかし、部屋の隅に人が行くと暗い部分があった。照明のムラは、このホールではいつも気になることだ。
 
  6人の男女の共同生活の場ということである。
 最初1人の男が床に座って何かを読んでいる。もう1人の男が登場し、ソファに座ってウォークマンと大きなヘッドフォンで音楽を聴いている。以下、2人ずつの会話、数人集まっての会話が続く。
 大学以来の友人がずっと同じ家で暮らしているというのも希な話だが、互いにあまり干渉せず、親しくなり過ぎもせず、バラバラな生活をしている。4日間病気で寝ていても気付かれないという希薄な人間関係だ。そんな彼らに30歳の誕生日が訪れる(1人は31歳)。誕生祝いの飲み会。
 1人の若い女性(会社の後輩?)が男のもとに来て、誕生祝いのケーキを持ってきたり、「私ではダメですか」と告白したりする。そこから6人の人間関係が進展するかと思うとそうでもない。
 それぞれが違う仕事をしているようだし、共通点はあまりない。それぞれ、会社や家族との関係も希薄で、どこか根付いていない浮遊感を漂わせる。演じている役者が20代前半の学生だから、30歳という微妙な年代(1階でもなく2階でもない中2階という位置)の男女の心を表現するのは少し難しかったかも知れない。しかし、30歳の人間を描くにしては狭い範囲の事にしか触れていない。というか、社会や地域や家庭といったものとほとんど関わらないのは、現代の独居?若人の特長だということか。若者は若者同士でもたれ合うという構図なのか?
 
 延々と続く会話から何が見えてくるのか? 何を見せたいのか? 
 会話が平板な感じなので(当然、意図的にそうしているのだろう)、ダラダラという印象になってしまう。台詞の間や強弱の変化があまりないのかもしれないし、感情を出さないので、観客が芝居に入りにくい。感情移入を考慮せず、目の前にポイと役者を置いているという感じ、と言ったらよいか。まあ台本がそういう芝居を要求しているのだろうが。
 前半はこの手法になかなかついて行けず苦痛だったが、後半、少し慣れてきた。
 
 もっと狭い空間で、客席が接近し、見下ろすような位置だったら良いのではないかと思う。このホールは客席の大部分が舞台より低いので見上げるようになり、不適だったかも知れない。