定期公演について。招待券入場数20名、一般入場数185名(内当日券58名)、計205名の方からご来場いただきました。まことにありがとうございました。
1時間45分ほどの本編と10分くらいのキャスト・スタッフ紹介、花束贈呈のセレモニー、部長挨拶で約2時間だった。
この作品は、前半あまり大きな変化無く進行し、後半70分過ぎから大きく動き出す。劇の雰囲気がコメディーからシリアスに一変し、90分くらいから大団円となる。
天才時計職人ルマンドの遺児(娘)コパンは、父からその高度な技術を受け継ぐことができなかった。しかし、仲間の励ましを受けながら独学で時計作りを身につけていく。やがて、ただ1個残された父の時計を手に入れたことで、時計作りは一気にレベルアップする。
ところが、その時計が止まるとき、持ち主の時間も止まってしまうという異常な事態が続出。父の時計は止まらず、そのおかげでただ一人残されたコパンは、国中の人に止まらない時計を持たせるべく孤軍奮闘するが、コパンの時間は過ぎていく…。
人々全員が再び動き始めたとき、工房の作業台には見知らぬ老婆が腰掛けていた…。
情緒的には盛り上がるが、脚本としてはいまひとつ整理されていないと感じる。ファンタジーだから、世界観にそんなに精緻な構造は不要なのだろうが、ストーリーやキャラクター設定の細かい部分が気になってしまうと、芝居に入り込めない観客もいるだろう。現実離れしたこの世界観を、どうやって魅力的なものにし、観る者に受けいれてもらうか。
でも役者たちは良く演じたと思います。3年生は、この2年と少しの間で一番の演技でした。成長の跡が著しかった。
装置(舞台美術)について書いてみます。
コパン以下、時計職人総動員で作りあげる巨大時計塔。
紙に描いたものです。高さ5メートル弱。裏を新聞紙で補強し、農業用ネットにガムテープで貼り付け、ネットの先に角材を付け、それを吊り物バトンに針金で結い付けて吊っています。ですから吊り紐は見えません。この方法であれば、細く枝分かれしているような木(の絵)でもきれいに吊ることが出来ます。
後半で破壊されるため、絵を切り離して別々に吊っています(ギザギザの線が見えますね)。この2本のバトンは30㎝の間隔しかありませんが、それでも角度によっては前後の絵が左右にずれて見えてしまいました。それで、後の絵の、床に着く部分を前に引き、前の絵と切れ目で合うようにしました。(念のため、客席の1階席上・下の60席くらいを潰して、見る角度がきつくならないようにした)
絵の下の角材が床面に着いていますので、これを前にずらし、ウエイトで押さえています。斜めになっているのが分かるでしょう。吊り物を下ろしたときにこの作業をします。紗幕、あるいは第2中割幕の後で作業することになるので作業する人は見えません。(コロガシは時計塔当てです)
破壊された後では前の絵が飛んで、このようになります。(写真はばらした際の様子なので床にあります。ネットの編み目が見えますね)
コパンが老婆から娘に戻るときにはこの時計塔も完全な姿に戻るので、再び前の絵を下ろします。(復元しないのなら、振り落としでいいのですが)
時計塔が完成したときにパッという感じで姿を見せたかったので紗幕を吊ったのですが、予想以上に透けて見えてしまったので、第2中割幕を引いて隠してから下ろしました。舞台は前から紗幕、中割幕、2本のバトンの絵が下りている状態になります。これを芝居の進行に合わせて上下させるため、スタッフのT田さんには大変ご苦労いただきました。
製作した階段は上のように使いました(仕込み時)。右はコパンの作業台と作りかけの機械時計。
下は裏から見た高台。下の段は90㎝のポータブルステージ、上の段は箱馬と平台で組んだので2尺8寸(85㎝)高。筋交いの板を打ってあります。真ん中に目つぶしのライトが客席を向いて立っています。