山形市立商業高校演劇部2010年度定期公演

 6月5日(土)17時30分開演。中央公民館。「広くてすてきな宇宙じゃないか」作、成井豊。1時間半。観客250~260くらいか? 高校演劇でも何回か観た作品。自分のところでも(合同公演だが)上演したことがある。脚本はやはりよくできている。なつかしい感じで観た。
 上演前から緞帳が上がっていて、舞台に装置が組んであるのが全部見える。下手袖から中央まで4間以上、3尺高のポータブルステージで台が組んである。ここが、カシオが望遠鏡を観る所、学校の面談場所、電力ターミナルなどになる。上手前に茶の間? 座卓と座布団。後ろに古い戸棚とその上の小さな仏壇。ここが柿本家。上手花道にデイリープラネットのセット。下手花道がFRS。つまり、全部の場所がいっぱいに広げてある。役者の出入りは、上下の袖と高台の後ろから。ただ、台が低いので潜り込むような形になる。上手から家に入ってくるときは、音響で玄関の戸の開く音が鳴る。これは無対象の演技を避けたのであろう。これだけ広げてあっても、転換のために暗転がしばしば入り、テンポが途切れる。最後の老いたクリコのシーンで、元の茶の間にもどす必要はないのじゃないか。さらに、照明で舞台を区切るため、シーリングの当て方が不十分で顔が暗い。舞台装置をもう少し考えてみるべきである。何が必要で何を省略すべきかのバランスを考えないといけない。吊り物のエレベーターも、文字幕からはみ出て見えていたので気をつけてほしい。ホリゾントは全面使っているが、暗転時に大黒幕を引かないので白々と見えるのはやはり気になる。
 演技は、おばあちゃんや年を取ったクリコの年齢が今ひとつ出せていない。全般的に男子の滑舌が弱い。皆、台詞は一応言えているが、感情が十分に伴わない。ために、芝居が深まっていかない。観客が引き込まれていかない。ここは大きな壁である。その場面が何を伝えるべきなのか、をよく考えないといけない。そうして積み上げた所に最後の感動が来るのだから。
 あと、音響・照明と演技のシンクロがうまくいくように、きっかけを明確にし、何度もリハーサルすべきである。大会と違って、十分な時間があるはずだから。
 それから、やはり、サッチモの歌は欲しかったな。この劇の雰囲気を表しているのだから。幕後はキャスト・スタッフ紹介、部長の挨拶ですっきり終わったのは良かった。
 
 何かこのところ他校の公演に批判的なことばかり書いています。こんなこと公然と書くな、と言われそうですが、もうずいぶん長い間、腹ふくるる思いをしてきたので、最後も近いし、自分の感じたことを思い切って言い残しておこうとしているのです。自分に対するハードルを高くしてもいるのです。悪しからず。