山形工業高校演劇部第44回定期公演「居酒屋にゅういやあ」

 6月4日(土)17時45分開演。県生涯学習センター。1時間27分。生徒創作である。キャパ300に5~60人か。本校の2年生も観に行く。私も、前任校で部員だった子の妹(1年生)が出ているというので、呼ばれて行く。
 居酒屋のセット。壁があり、お品書きやポスターが貼ってある。中央が空いていて、そこに暖簾(少し寸足らず)が掛けてある。戸はないが、皆、無対象の動作で開け閉めして出入りする。下手にカウンターとテーブル(テーブルはあとで中央に移動する)、丸椅子がたくさんある。上手に3畳ほどの小上がり(平台を2段に積んであるが、けこみはない)、そこにも座布団とテーブル。カウンターなどは比較的良く作ってある。ホリゾントは使わず、大黒幕を引いてある。ここは2サスまでしかないが、1サスのみで十分な地明かりを取っている。
 大晦日の居酒屋に一人の客が来る。こんな日のこんな時間には普通の客は来ないのだと居酒屋の親父が言う。来るのはまずサンタクロース、雪女、魔王、猫又、そして口裂け女である。これらがおりなすドタバタ喜劇。各自がそれぞれ悩みを打ち明け、最初の客が親身に聞いてやるという形。どうもこの客も人間ではなかったようで、皆は来年の再会を約束して別れてゆく。
 着想は面白いが、少しはじけ方が不足気味。座って語らってしまうので動きがなくなり、眠くなる。中盤以降、魔王の登場で少し動けるようになる。こういった、異物が多数登場するファンタジックなお話も、生徒がよく書くパターンである。書きやすいのであろうが、往々にして一貫性が保てなくなるのが難点である。
 前日の日大山形さんの公演でもあったことだが、役者が第1袖幕の前から出入りする。居酒屋なんだけど、どこに行ったの? また、終演後のキャスト・スタッフ紹介が、内輪の3年生送別会になってダラダラと続くのが、部外者にしてみればあまり感心しない。気持ちは分かるけれど、観客は早く帰りたい。