令和5年度共通テスト「漢文」問題を解いてみた(1月15日朝)

 白居易が自分で官吏登用試験の模擬問題を作り、解答例も作ったという文章。なかなか珍しい問題文ではなかろうか。

 解くのは簡単だった。時間もかからない。素直な文章であり、選択肢も違いが明瞭で、一読して正解が分かる。おそらく満点者が続出するだろう。

 

 問1の語彙的問題は常識の範囲で解ける。ただ「無由」は、古語の「よしなし」だと「理由がない」「つまらない」などの意味でよく使われるので、③や④を答えてしまう人がいるかもしれない。

 

 問2 「無不」の二重否定なので、消せば「君者思求其賢、賢者思効其用」ということになる。選択肢は前半の君についてよりも後半の賢者についての部分に違いが大きい。肯定的なのは③と④である。

 

 問3 「豈」なので、最初に反語だろうと考えるが、「豈不」と「否定を含んだ反語」になるので、文意は肯定になることに注意が必要。「どうして~しないだろうか、いや~する。」(追記、反語形よりも詠嘆形とみた方が良いだろうが、結局意味内容は違わない)

 反語の句形の内部には二つの対句が入っている。「貴賤相懸←→朝野相隔」と「堂遠於千里←→門深於九重」である。どちらも、君(貴・朝)と賢(賤・野)との「懸隔」、その距離が「遠深」であること、が理由であると言っている。

 

 問4 再読文字「猶」の意味、そして糸と針、矢と弦の関係の比喩を解くだけである。「族類に(賢者を)推薦させる」のは、君と賢者がそれぞれ単独で行動しては出会えないから、族類を通して求めることが必要だということになる。選択肢で肯定的なのは①と②。

 

 問5 一読すれば「必」だろうと予想できる。選択肢は③か⑤。「自然の理」というのだから、過去の例によらず成立するはずである。

 

 問6 水と火の例は同じことを言っている。水は低きに流れ、火は乾燥したところへ燃え移るように自然なことなのだということ。

 

 問7 選択肢前半の、なぜ君と賢が出会えないのかという理由、後半のどうしたら出会えるかという解決策。両方を本文に即して読めば自ずと答えは出る。