このところ鑑賞した舞台公演について触れていなかったので、まとめて書いてみたい。
5月22日(土)15:00『堀米ゆず子のバッハ』 東ソーアリーナ
J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータより
唯一人素舞台に立ち、全曲譜面無しで演奏された。素晴らしい演奏だった。
6月 5日(土)18:30『山形ワンコイン演劇祭W』ブロック②
山形市民会館小ホール
演劇ユニット41×46「しりとり」
劇団ジョゼ「ペロリンをこよなく愛する会総会」
ワンコイン演劇祭は「演劇プロジェクト全力演劇」が企画した演劇祭。アマチュアの劇団、グループが集まって、各自30分以内の短編を上演する。
「しりとり」は男女二人芝居。しりとり部が大会に出るという。様々な種目のしりと りがあり、その技術を競うという。それだけなのだが、台詞のやり取りが上手で、最後の趣向が良く効いていて、よくできた台本だと思った。
「ペロリン~」は男4人のコント芝居。ペロリンとは実在する山形県のマスコットキャラクターで、緑色の三角錐(山)の一面に目と口があり、舌を出している。この目と口が不二家のペコちゃんに似ている。話はペロリンを賞賛、崇拝する団体の入会式と総会の設定。やや無理押しの感じであった。「しりとり」に比べ、本が練れていない。
さくらんぼの日コンサート2021 東ソーアリーナ
さすがプロ、というコンサート。歌に力があり、観客の心を揺り動かす。
無二の親友という渡辺えりが客席にいた。
6月12日(土)14:00『鎌田實×小室等トーク&フォーク』 東ソーアリーナ
7月31日(土)14:00『朗読・劇 野に咲く花は空を見ている』(88分)
山形平和劇場第36回公演 市民の手作り舞台による平和へのアプローチ
間を1席ずつ空けて満席だった。戦前の鶴岡出身の言語学者、斎藤秀一(ひでかず)の生涯を朗読にした作品。一部演劇化してあった(台本を持たず演技)。エスペラントやローマ字を普及させようとして戦時中に逮捕された。
このエスペラント語への傾斜や父親との対立などのエピソードから、井上ひさしの「イーハトーボの劇列車」を連想してしまった。あの中ではエスペラントの具体的説明があったなあ。
全員マスクをしているためうまく朗読できるか心配な部分もあったが、マイクもあり大体は聞き取れた。ただ群読については、今一つそろわないので聞き取りにくかった。
内容は、登場する人間の関係がよく飲み込めないうちに話が進んでゆくようであった。エピソードが断片的になるのは仕方が無いかもしれないが、台詞が一面的(紋切り型)なので役柄が深く印象的にならない感じだった。「朗読劇」ならば感情表現が必要だが、「朗読・劇」なので中途半端になっているように感じる。厳格な住職の父親は厳格に、特高の刑事は特高らしくなどよく演じている、とも、パターンに終始しているとも言えるので難しいところだ。主人公の内面の成長過程なども、もっと表現できたのではないかと思う。言語学者としての考察とか、ローマ字の授業とか、エスペラントでの会話とかを場面に入れると面白かったかも知れない。
舞台使いについてだが、演者の配置などはここ何年か、ほぼ同じようである。参加希望者は全員舞台に上げる方針だから、登場する人数は30人と多くなる。その人数で上・下に分かれた配置では声の出所が散漫になりがちで、観客の集中も削がれると思う。
舞台前面に散らすのではなく、中心だけを明るくして、演者は出番の無い時は後ろの暗闇に帰る。中心に寄せて(コロナだからできないか)、背景の装置も変えて(「緑の星=エスペラントの印」を頭上に吊って)、みんなマイクに向かってしゃべったらどうか。役が固定している演者は衣装を着けても良いと思う。
以上、ごちゃごちゃ書きましたが、この疫病蔓延の時節、困難多い中、公演を実施された関係者の皆様の努力に敬意を表します。お疲れ様でした。