戸籍を調べて系図を作成する

 母の戦前のことを知るため、基本的なことを整理しようと戸籍を調べた。市役所で謄本を取るのだが、窓口で「家系図作成のため」と言うとその旨のゴム印があり、手際よく申請書を直してくれる。今はそういう用途で申請する人が多いのだろう。

 母方の直系をさかのぼれるだけさかのぼることができるが、明治時代までしか探せない(あとは寺の過去帳で死んだ年がわかる)。なお、以前の「原(はら)戸籍」をとらないといけない(それも今はすべて画像データ化してある)。母の結婚以前の謄本2通で事足りた。

 戸籍も、明治時代は毛筆のくずし字とカタカナで記入してあるので、なんとか判読しなければならない。記入者の小さなはんこが字の上に捺してあって判読できない字もある。可能な限り読めたところでワープロに起こす。まあ面倒な作業だが(一晩かかった)文字データ化しておくと後々利用できる。

 それだけでは入籍した順序に並んでいるだけなので、関係が今一つ理解しづらい。そこで系図の形につなげてみるが、養子、再婚などのためなかなか一筋縄ではいかない。しかしこれがないと関係を一覧にして把握できない。

 また、系図では分らない、兄弟の子の年長・年少の差を見るために、エクセルで生没年間を青く染めた一覧表を作った。一人1行で、上から生まれた順番に並べて、1セル1年で横に進み、区切りの良い年齢のコマに数字を入れる。すると、終戦の年に生きていた人はそれぞれ何歳だったか、などの比較がすぐできる。こうしてみると、昔は子だくさんのため兄弟の年齢差が大きく、一家の中で同居している叔父・甥がほぼ同年齢というような状況も見え易くなる。

 昔は子だくさんではあるが、明治・大正時代には成人前に死亡する子供が甚だ多い。それで親はすぐ次の子を産むのだが、また死ぬ。7人産んで2人しか育たない場合もある。今の人はそんな状況を想像できないだろう。甚だしい場合は、出生届と死亡届が同日という例もある。

 生没年月日や婚姻の年月日と届出年月日が大きくズレている場合もあるので注意が必要だ。冬に結婚の事実があるのに夏に届出がなされているということもある。これは当事者から直接聞いていないと間違いのもとだ。

 生前の母から聞いていた、実家の人々の実態がかなり正確に追認、確認できた。長男が家を継ぎ、次男以下は分家する。兄弟がそれぞれ結婚して子供も複数いて、20人近い大家族で住んでいる時期があるが、(屋敷内の蔵などに弟家族が住んだりするようである)分家によって一気に7~8人減る。

 

 母の結婚以前の戸籍(系図)に書かれた人30数人は、分る限りで今3人しか存命でない。その内の、母の兄の長女(自分とは15歳くらい上の従姉、原戸籍では前戸主を含めて5代目)の方に昔の話を聞きに行った。この従姉Hさんの夫は左沢の名主だった鈴木氏の子孫で、ご自分の先祖の業績を調べていた(自分も「鈴木政胤開墾碑 」碑文を訓読するお手伝いを少ししたことがある。この方が母の家系についても少し調べてくれていたので、参考にさせていただいた)。事前に連絡してあったので、Hさんが昔の写真(Hさんの結婚式の集合写真で紅葉公園(旧宝幢寺庭園)で撮影した物)を用意していてくれた。若い頃の父母が写っていた。自分が7~8歳、母が40歳の頃である(自分は写っていない)。初めて見た写真であり、ありがたく頂戴してきた。自宅プリンターのスキャンでは写真を精細に再現できないので、写真屋さんに接写してもらおうかと思う。