JIN-NET倒産に思う

 JIN-NETが倒産、というニュースを見た。JIN-NETは、独自取材で報道番組を支えてきた会社である。懐かしいところでは、偽ドル札スーパーKを追う取材から「よど号」犯人の日本人が関わっていること、つまり北朝鮮の関与を突き止めたことや同じく北朝鮮による日本人(横田めぐみさん)拉致についての取材などがある。最近のものはよく知らない。

 社長の高世仁氏の「諸悪莫作日記」というブログを読んでみた。特に過去の記事をさかのぼって読んだ。彼が高校生の時AFSでアメリカに一年間留学したことが書いてある部分までさかのぼって、その日本の東北地方の田舎の若者がアメリカの豊かさとベトナム戦争の傷に触れたことを読んだ。

 懐かしかった。それは、彼が留学のため休学するまで同級だったからだ。ほんのわずかな時期、同じ時代を同じ場所で過ごしたという、ただそれだけのことだが…。

 彼がJIN-NETを設立したことは知っていた。当時の同級生には他に朝日新聞論説委員になった方もいる。彼等のような優秀な生徒(ちょっとやんちゃな背伸びした面も感じた。お互い『文藝春秋』の「同級生交歓」に載るようになろうと言っていた)は、そうではなかった自分からみれば、ある意味違う世界の人間のように感じていた記憶がある。自分は浪人し、大学で留年して、卒業後は県立高校教諭として41年間を生きた。

 あれから50年を経たわけだが、激動する世界の最前線そして裏側を取材し続けた髙世氏のイメージは、自分の中では、色白のかわいらしい高校生でしかない。