買いだめ老人になってみようかとドラッグストアに行ってみた話

 花粉症なので、この騒動の前に買っておいたマスクの残りが気になり、世間の噂では老人が早朝行列を作るというドラッグストアに行ってみた。この店にはいつも「当店のマスクは土曜日のみの入荷ですが、必ず入荷するとは限りません」と掲示してある。

 今日土曜日、開店の9時に行ってみた。

 なにやら人が列を(間隔は取っていない)成していて、駐車場も満車状態である。そして、列の後尾にプラカードを持った男性がいる。曰く、「本日のマスクは完売しました」

 開店即売り切れである。遅ればせながら、この、いまだ感染者ゼロの地方県にも、静かに騒動は浸透していることを実感した。

 

 感染者ゼロではあるが、時間の問題と考えられていて、新しい県民ホールの会館式典は延期となった(昨日の新聞では規模縮小としてあったと思うのだが)。さらに、5月10日のお薬師さまの植木市(屋台が沢山出るし、人出も多い)も中止だという。香具師の商売もあがったりだろう。なにより、一月以上先までキャンセルが決まっていくことが、まあ必然の流れではあるのだろうが、驚きである。

 市内の高校演劇部の多くは5月から6月にかけて自主公演(3年生部員の引退公演、「定期公演」と称する)を行う。例年もっとも早いのは西高で4月末。遅いのは東高で6月下旬である。それまでに感染の収束を見ない限り、これらの定期公演の実施も危ういことになる。プロとは違って、営業的な問題が生じるわけではないが、部員達にとっては最大にして最後の公演ができないのは残念きわまりないことである。

 

 どんなに感染防止に努力しても、一般市民からの苦情、抗議は逃れようがない。先日のシベールアリーナでの某劇団公演にもそのようなことがあったと聞いている。やむなく(演劇というライブな状況を必須とするジャンルにとって欠かせない)観客を入れない無観客公演という形にせざるを得なかった。この場合、劇団の経済的損失も大きい。

 

 高校の部活動としては、文科省、県高校教育課からの指示に従わなければならない。柔道や剣道、レスリングの乱取りみたいな(濃厚接触)こともできないだろうし、合唱だって現実にクラスターを形成した以上、これまでのようにはできなくなる。もし活動を「強行」すれば、世間の風当たりは想像以上のものになるだろう。

 合唱、演劇などは市民のための芸術的公演という一面を持っているはずで、毎年恒例の行事として広く深く親しまれていれば、少なくとも100人単位の市民から惜しまれるだろう。しかし、毎年の定期公演では観客も少なく、一部高校生だけの自己満足と見なされていれば、中止となっても、本人たち以外誰も残念には思わないだろう。

 日頃の部活動に対する部員の意識の違いが、存在意義の違いとして表われてしまうようにも思う。

 いずれにせよ、高校生の部活動に対する一般市民(日頃の活動について全く知識の無い人たち)からのバッシングはある意味恐ろしいし、万が一にもクラスターとなってしまう危険がある以上仕方が無いことでもあるので、顧問の先生方は苦しいところだろうとお察しします。私は無観客公演でもこっそりのぞきに行く気はありますが。(紫の薔薇は持って行かない 呵々)