周辺の演劇状況 補足

 周辺の演劇状況について、地域劇団の歴史のようなことに触れたので、補足しておかなければならない劇団がある。それは「BQ倉庫」と「紅座」である。もう20年以上も前になるが、野心的な活動をしていた劇団である。
 どちらも創作劇を上演していた劇団で、東京に出たり、東京から帰ったりの違いはあるが、どちらもアマチュアの域を脱けようという気概が感じられた。「紅座」は遊学館(キャパ300)を発表の場とし、ファンクラブ(後援組織)を作り、採算のとれる劇団運営を目指したようだが、前回触れたように、地域の演劇人口がプロの劇団一つを支えるほどには存在せず(これはモンテディオワイバーンズのサポーターなんかにも言えるだろうか…企業スポンサーがついているところは違うが)うまくいかなかったようだ。
 
 高校生演劇部員が各自の所属する学校を越えて集まり、卒業直前に自主公演を行うこともあった。「深海魚」という劇団で、人員構成は毎年変化した。コンクール主体の活動から離れた、顧問のつかない、生徒だけの活動として貴重なものだった。5~6年で終了したが、ここに何か発展性があったのではないかという気がしている。
 
 こういった挑戦?がいろいろとあったわけだが、大きな機運というか、演劇熱?を市民の中に起こす(演劇人口の拡大)までにはいかなかったと思う。だから、今、各地域劇団の努力(上演の質の向上、劇団の経営戦略)でそれぞれの観客動員数を増やすことも必要だし、それが地域全体の演劇人口を増やすことにもなるのだろうし、劇団同士の交流、役者の客演によってお互いの観客層をつなげていくこともやっているだろうが、何かもっとできることはないかと思っている。たとえば、格安で使える小劇場を作れば一つの劇で長期公演をしたり、近隣県の劇団を呼んで交流し易くなるのではないか。「其処ではいつも何かおもしろそうな芝居をやっている」という感覚が市民に浸透することが大事なのではないか。…誰がやるんだ。所詮、爺さんの妄想ですかね。