大会作品、稽古中

 久しぶりな感じで書いてみる。

 過去、この時期は地区大会に向けての台本や稽古・製作の進捗状況を書いていたが、今年はあえて何も書かないできた。去年と一昨年は生徒創作にしてみた。生徒は力の限り頑張ったが、どうしても限界があって、芝居にしきれない部分が残った。
 台本を書きながら芝居を作るのはたいへんな労力で、既成台本でやるほうが絶対楽に決まっている。
 その台本の見極めが、生徒にはなかなかできなかったりする。一読して面白いものをやりたがるが、表面の笑いにとどまるものが多く、じっくりやればいい舞台になるだろう作品というものが見出せない。
 春にやった『月の上の夜』だって、決まるまでには部員の推す柿喰う客の『フランダースの負け犬』と競り合って、侃々諤々の末に小差で決まったのだ。いや、『フランダース―』が表面的だとか言っているのではなく、彼女らの卒業公演としてどうなのかということです。
 部員は『月の―』をやり終えてみて、こんなにおもしろくて受けるとは思わなかったと言っていた。

 今年はもう本当に顧問としていられる最後なので、自分が書くと宣言していた。
 しかし、二年のブランクは大きい。二十分くらいの『七夕とチョコレート』を書いたほかは書いていないので、書けなくなっていた。最盛期というのは何にでもあって、思えば『あの日 あなたが 校舎を燃やした?』から『ささやき』への二年間あたりが自分のそれだったような気もする。

 ノートにあれこれアイデアを書き付けるけれど、翌々日あたりには駄目だなと見切りを付けて捨ててしまう。そんなことがずっと続いていて、自分には何が書けるんだろうと不安になったりもしていた。
 定年過ぎた自分が、十六・十七歳の高校生の演じる芝居を書く…。もう止めた方がいいんじゃないかという気もした。

 それで、どうなったかというと。既成台本のような、創作台本のような、妙なものを書くことになった。そんなものしか書けないというか、そういうものが書きたかったということだ。原作はあるが、創作になる。そんな使い方で原作者の了承を得、脚本使用許可を出して頂いた。
 これがうまくいくかどうかは神のみぞ知る。まあ、軌道に乗ってきたようなのでこんなふうに書いているわけだが…。

 八月二十五日が嚶鳴祭での上演である。最終稿を渡したのが八~九日だから、まだまだ台詞が入っていない(原作の台詞の部分はだいたい入っているだろうが)。
 夏休み中も毎日のように稽古しているが、部員それぞれが都合で来れない日はキャストがそろわず
稽古にならないので、装置作りなどのスタッフ作業だけになる日もある。

 年寄りの感性と若い感性が良い具合に混ざり合うといいな。