新庄演劇研究会第四十九回定期公演 新庄演劇研究会創設者楢岡三郎追悼公演

 平成28年11月13日(日) 13時30分開場 14時開演 15時31分終演 (1幕2場)
 新庄市民文化会館 大ホール
 「雪 夜」 作、沼澤 豊  演出、高山 満男

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 快晴の暖かい日。多くの観客が来ていた。60年を超える歴史を持つ劇団というだけある。
 開演前、舞台下手花道に花が飾られ、スクリーンに楢岡三郎氏の生前の姿が投影されている。
 終演後、幕を上げて挨拶。花束贈呈があった。贈呈者はお年を召したご婦人で、楢岡先生の奥様ではないかと思うが、アナウンスを聞きそびれてしまった。

 下手玄関の曇りガラスの引き戸、土間から上がり框まで1間半。わら靴やゴム長があり、壁には外套を掛ける。ここには傘の電球が下がっている。玄関を開けると雪が降っているのが見える。次に8畳の茶の間。裁縫の台と卓袱台があり、後ろに火鉢や手あぶりがある。奥は下手1間が障子、上手1間が壁で、茶箪笥や柱時計がある。障子の奥は台所(と風呂)。上手に6畳の和室。炬燵がある。奥に3尺の襖、1間の障子付きのガラス窓。桟に雪が積もっていて、降る雪が見える。部屋の仕切りは奥の1間分だけ障子や襖が立ててある。揺れないように上端が板で連結してある。
 ホリゾント(大黒幕だったか)には雪のエフェクトがずっと回してある。
 音響として馬車か馬橇の鈴の音が繰り返し使われていた。後半情緒作りの音楽が入った。
 転換の際の明かりは比較的明るくてほぼ見えていた(非常灯は消していた)。

 作者の故沼澤豊先生が20代で初めて書いた脚本ということだが、完成度は高い。作者自身の体験も重なっているらしい。作者とは時代が20年くらい違うが、自分の子供の頃の雰囲気を思い出した。日活の青春映画的な雰囲気もある。

 昭和20年代の新庄と思われる町、郵便局に勤める老配達夫一家の、雪降る一夜のお話。
 勤続35年の表彰が決まったお祝いにと妻、2人の娘(1人は25歳 末娘は高校1年生?)と1人の息子(高校3年生?)が酒やすき焼きの用意をして待っている。やがて、父親が一杯機嫌で帰ってくるが…。
 小学校もろくに出ていない父親は、郵便配達夫として一家を支えてきたが、冬の山道で転落し、足が不自由である。母親は地域の娘たちに針仕事を教えて生計の一助としている。
 演劇などにかぶれて家を飛び出して東京に出、学生運動に身を投じている兄。長女は父と同じ郵便局に勤めているが、妹に先に嫁がれ、好きな人がいるのに父親の上司から勧められている縁談を断り切れない。弟も、父親に反発し、隠れて演劇に関わっている。
 夜、課長と主任が表彰のお祝いにと訪れるが、実は縁談の返事を聞きに来たのだ。ぶしつけな言動に不満の弟。2人が帰った後に、息子の不満は父親に向けて爆発する。殴る父親。
 一家の修羅場であるが、追い打ちを掛けるように、同僚の老配達夫がやって来て、2人は馘首になるという。なかなか悲惨であるが、さらに2人で飲みに出た父は誤って川に落ちてしまう。やれやれ。
 最後には長女の独白によって、やや希望をもって終わる。

 若い人からだいぶ年配の方まで、年齢幅の広い役者がいるのは強みである。みな台詞は山形弁である。新庄弁特有の語尾はあまり聞かれなかったように思う。
 みなさんお上手で、伝統を感じさせました。舞台美術もしっかり出来ていたと思います。
 往復3時間かけて観に行って良かった。


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 長い歴史の中で何度か表彰されているが、今年と昨年の表彰状が展示してあった。

 年 譜
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