平成28年11月18日(金) 18:30開演 20:47終演 (1幕65分、休憩10分、2幕62分)
山形市中央公民館ホール(アズ七日町6階) 招待券で入場 観客多数
平成28年度県民芸術祭参加 / 山形市芸出際参加
緞帳上がると全面平台で喫茶店が組んである。かなり広い。前の間口6間、奥が4間のハの字型に開いたパネルで作ってある。テーブル(3卓)や椅子(10数脚)は本格的に揃えてある。上手のカウンターもリアルである。正面奥に入り口ドアと大きな窓。奥に通りが見える(通りの高さは店と同じ平面)。各店舗のシャッターと「貸店」などの貼り紙。窓から見える通りを人々がやって来たり去っていったりする。いつもながら立派なセットである。
舞台が観やすいように、一階通路より前の客席が一段(平台一枚分くらい)高くしてあった。この部分は可動式で、舞台と同じ高さにまですることができる。ここでのこういう配慮は初めて経験した。
寂れた商店街。近隣に大きなショッピングセンターが出来るので、そこに出店しようという町内会長と商店街を活性化させて頑張ろうとする小売店主たちとの葛藤。みなさん達者な演技でしっかりとした芝居になっている。一年に一度の公演にかける力はたいしたものである。
シャッター通り商店街、地方ではよく見るような風景。この劇団でも以前同様のテーマを扱った作品を上演しているように、あまり目新しいものではない。葛藤もさほど強いわけでもない。すべてが喫茶店内で演じられる見事な三一致だが、若い人には、変化がないのは少しもの足りないかも知れない。
喫茶店の親父と2人の息子。兄は市役所の公務員。弟はインドを5年間放浪して帰郷し、本場仕込みのカレー屋を開こうという。この一家を中心に、弟の恋人、兄が思いを寄せる小学校の先生、近所の商店のおかみさん連、東京から移住してきた奥さん、信用金庫の女子などが繰り広げるお話。いずれもおもしろく作ってあるが、中でも帽子屋のとくさんのエピソードが、以前にNHKでやっていた緒形拳の帽子屋を思い出させて興味深かった。ここは、とくさんの人柄、過去、自殺する気配を少し感じさせる工夫とか、戻ってからの語りや、弟子入りする若者との関係などをもっと作り込んでほしかった。でないと、どうもラストが締まらない感じだった。
松井先生が顧問になり、安部先生が新代表になられた。あらたな50年に向けて活動を続けてください。