2014年12月2日(火) 18:30開演 21:16終演 (途中休憩15分) 2幕11場。
山形市民会館 大ホール
樫山文枝、伊藤孝雄ら。中地美佐子の二役が見事に演じ分けられていて感心した。
北海道釧路に移り住み、海産物問屋を起こした平出幸吉と妻さよ。2人を支えるアイヌのモンヌカルとたき。跡継ぎ娘の長女リツは馬を駆り米俵を担ぐ男勝り。幸吉は店に転がり込んだ石見の国出身の修二郎を入り婿にしようとする。さよも次女ルイもみな反対するが、リツは結局、手代の雄作をあきらめ、子もうけるためにだけ結婚を承諾する。ここから平出家の運命は紆余曲折し、入ってくる男たち女たちの確執が始まる。リツは千鶴を生んでまもなく亡くなる。ルイは修二郎の弟啓三郎と結婚。兄が番頭、弟が手代となる。修二郎の死、啓三郎夫婦の離婚を経て店は倒産する。
50年3代に渡る一家の歴史を描き、時代とともに変わってきた女の生き方を描いている。それを2時間半足らずで見せる。
中央に海霧を描いた布(ドロップというのか)、上下の出入り口になる構造物は薄い布でできているようで光がかすかに透けて見える。布の巾を補うためにか、ここから4尺ほどの仕切り板が出てくる。
布が上がると奥に尺高の部屋。間口2間、上手1間は障子、下手にドアがあって奥に出入りする。平出商店の帳場、囲炉裏がある。上手が店で、ガラス戸から外に出る。下手が台所で、いずれも1段低くなっている。1幕最後の場で、リツの部屋になると中央の部屋部分が前に1間くらい出てくる。その前に垂れた海霧の布は別のドロップか?
霧はスモーク。
2幕後半で、東京(東中野)の千鶴の家になると大きくセットが組み替えられる。中央奥は仏壇と床の間に、下手は洋間になる。下手の玄関から出入りする。
「女の一生」を思わせる作品。血脈をつないでいくのは女なのだと実感させられる。
みなさん達者でしっかりした演技。観客を引き込み、感情移入させてしまう。
みぞれの中を観に行く甲斐のある作品だった。