テアトル・エコー 公演
平成25年10月1日(火) 18:30開演 終演20:35 (1幕65分 休憩15分 2幕45分)
山形市民会館大ホール
「風と共に来たる」 作、ロン、ハッチンソン 訳・演出 酒井洋子
戦前のハリウッド大作、「風と共に去りぬ」の制作裏話。3週間撮影した監督をくびにし、脚本を新たに書き直すというプロデューサー、デイビッド・セルズニック。脚本家のベン・ヘクトと映画監督のヴィクター・フレミングを自分のオフィスに缶詰にし、5日間で脚本を完成させようとする。食事はバナナとピーナッツのみ。
緞帳開いている。ハリウッドのオフィス。4メートルくらいの高さの壁が3方を囲む。下手に入り口のドア、奥は物入れになっている。上手にトイレへのドア。壁には本棚。正面奥に背の高い窓2つ。間の壁に顔写真2枚(セルズニックの父と義父)。ブラインドのむこうには撮影所の建物。1段高くなっている奥の方中央に立派なデスク。机上に電話が2台と例のごとく緑色のスタンド。前の方、下手に扇風機、フロア・スタンド、小机、椅子。中央にソファ。上手に椅子。
映画「風と共に去りぬ」を観たことのない人には分かりづらかったかもしれない。
3人の台詞はかなり早く、内容も当時の映画関係者の名前とかが入っていると観客には分からなくなってしまう。また、KKK(当時のアメリカで一大勢力だった)の名が出てきても、多くの観客には何のことか分からなかったろうし、脚本中でスカーレット・オハラが黒人の女中の小娘をひっぱたくシーンとか、ユダヤ人のことにどうしてあれほどこだわるのか分からなかったろう。あの時代を知るアメリカ人が観たらすぐに反応するのだろうが。
そういう面もあって、観客がコメディの流れに乗り切れなかった気味はある。しかし、役者は熱演だったと思う。自分はおもしろく観た。
最後、脚本が出来て満足するセルズニックの背後で装置(奥の壁)が開き、現れるのはあの映画のラストシーン。葉の落ちた木の下でスカーレット・オハラがたたずむ。“Tomorrow…,tomorrow is another day.”(映画字幕では「明日は明日の風が吹く」) そしてあの音楽。2時間の末にぐっときた。
カーテンコールも終わって暗転幕が降り、“THE END”の文字が投影されるのは洒落ていた。