演劇集団舞台工房2015新人公演

 平成27年10月3日(土) 18:02開演 19:46終演   同日14:00、前日17:30の上演もあった
 山形大学サークル棟2F 入場料700円 入場数40くらい   暑かった(団扇付き)
 「クロノス」
 原作、梶尾真治クロノス・ジョウンターの伝説」(徳間書店)  脚本、成井 豊  演出、森谷将行


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 成井豊の時間移動を扱ったSF。成井の時間移動を利用した作品は他にもあるが、いずれも恋人に会いに過去に戻る話だったと思う。その男の切ない気持ちを表現する手立てとしてクロノス・ジョウンターという時間旅行機械を設定している。しかし、「時間の流れ」に逆らってある時点に戻ると、強い反発を受けて現在より先の時点まで飛ばされてしまう。そして2度目には、前に帰った過去の時点より以前には行けなくなる。
 この設定が、事故に遭う女性を救う困難さを高める。失敗する度に等比級数的に未来へと飛ばされる男、吹原。ついには、数千年後まで…。それが分かっていながら過去に戻ろうとする吹原を、周囲の人達が、初めは相手にせず、しかしやがて手を貸すようになる。
 最後の、博物館館長が吹原の妹の娘だという話は作り過ぎの感じだが、まあ全体的には良く作られた作品だとは思う。

 最初のうち、役者の台詞が速く、それをはっきり言おうとするあまり、不自然なまでに口の形を意識していたようで、流れもあまり良くなかった感じがした。野方が登場する辺りからだんだん不自然さが消え、流れが出来ていったようだ。観客も引き込まれていった。野方役の人は嵐の人みたいだった。

 舞台間口3間、奥行き2間ほどの狭い空間なので、人がただちに入れ替わることができる。話の筋は役者自身がナレーションで作っていく。成井豊の手法だが、テンポ重視の舞台では効果的だろう。