演劇集団舞台工房 34th stage 2011本公演

 『風を継ぐ者』 作、成井豊真柴あずき 演出、園原温志
 12月25日(土) 13:30開演 15:48終演  県生涯学習センター遊学館ホール
 入場料700円(前売り500円) 入場数70人?
 
イメージ 1 看板
 
 緞帳開いている。上・下に新撰組のだんだら模様のパネル。流水模様が描いてある。大黒幕ほぼ閉じていて、中央に塀らしきパネル。舞台半ばより奥は平台ベタ置き。上にベニア板が敷いてある? 奥に尺高程度の土手がある。その裏、LHの後ろにパーライトがあるらしい。最後に新撰組隊士を後ろから照らす。ホリゾントはほぼ使わないが最初以外は大黒幕開けてある。塀のパネルは両袖に移動。
 このような設定なので、横並びになる状況が多かった。また、この舞台、いつも思うのだが、シーリングにムラがあって、顔が見にくい所がある。
 
 新撰組に入隊した、足が速いだけが取り柄の男、立川迅助が主人公。沖田総司土方歳三との親交。沖田の恋(これはよくお話になる)。沖田が池田屋事件で斬った浪士の妻の仇討ち計画。長州藩士との斬り合い。その間、迅助は京の町を走る走る。42,195㎞を2時間ちょうどで走る! これはフォレスト・ガンプか。走れメロスか。
 でも誰も殺されずに済む。その後沖田が病死、土方が函館で討ち死にし、明治になって10年、迅助はベースボールに興じ、走っていた(ほんと、何かスポーツを絡めるよね)。
 
 2時間を越える長編。幕末の若者達の悩みながらも生きる姿を精一杯演じていた。
 
 キャラメルボックス流の芝居なので、ナレーション的な台詞で進められる。しかし、パンフレットの登場人物相関図を見ても人物関係が分かりにくく、なかなか芝居に入っていけなかった。役者の区別がつかないのがもどかしい。特に女性の区別が難しかった。途中からは話が見えてきて、それぞれの役柄も把握できたので面白くなってきた。子母沢寛の「新撰組始末記」や司馬遼太郎の「新撰組血風録」でおなじみの世界。今時の歴女なども詳しい世界だろう。
 
 2日続けて殺陣のある芝居を観たが、昨日のが様式的なまでに美しいとしたら、今日のはリアルさを追求した写実的なものと言えようか。しかし、どちらも実際にあんな風に打ち合ったら刃こぼれして大変だろう。
 
 ダメ出しになって申し訳ないが、台詞の調子が全体に高く、うわずったように聞こえる。もっと低く、一語一語はっきりと伝わるように言った方がよい。語尾に癖のある役者もいるが、仕草の癖も気になった。自覚して演技しないと、どうしても癖が出てしまい、見ている方は気になる。
 衣装。おなじみ浅黄色の新撰組の羽織(これは夏服なのだが)や鉢巻き、浪士の服装、女性陣の和服、刀などの小道具はよく揃えてあった。
 音響は、台詞にかぶる音楽が多かった。選曲は悪くないが、情緒を作るというよりは単調さを助長した気味があったか。
 長い芝居なので、稽古の行き届いた部分とそうでない部分の差が見えた。受け答えの間が良い所とよく考えられていない所が別れた。関係性が上手く作れなかった所なのだろう、横並び棒立ちの場面もあった。
 
 これが今年最後の観劇になります。皆さんありがとうございました。お疲れ様でした。