漢劇WARRIORS2011年公演

 12月24日(土) 14:00開演 15:47終演  山形市民会館小ホール
 入場料 前売り1500円 当日2000円  (昼の回を観劇 入場数70くらい?)
 『咲かずのきおく』 作者名記載無し パンフレットなし
                                   チラシ(折り目があります)
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 5話のオムニバス。主たる2人の役者が次々に衣装を替えて登場する。つなぐのは咲かずの木、枯れているのか、花を咲かせない(枝垂れ桜?の)木ともう1人の男。
 
 咲かずの木の伝説のもとになったエピソードから始まる。激しい雨の音と共に明るくなるとステージに大きな立体的な木。幹幅1間くらい。高さ1間半ほどの所で二股になっている。天井から細い白い布が多数下げてあるのは、最後に照明で花の色に染めるもの。床は黒い地がすり、背景は黒幕。
 根元に刀と陣羽織が立てかけてある。そこに黒い袴姿の男が登場して額ずく。後からもう1人袴姿で陣羽織の男が登場。最初の男は自分の手に持つ陣羽織を渡そうとする。これらには共通の模様が印してある。後の男が最初の男に斬りかかり、無言のまま2人の立ち回りとなる。しかし、最初の男は斬り合いを拒否している。ついに苦悶の表情の男は自分で腹を貫き自決する。
 暗転後、もう1人の男が登場。着物に袴、脚絆の出で立ち。先ほどの陣羽織を着、刀を差すと、木と語り始める(1人で立ち位置と声色を変えている)。300年間、こうやって話しているという。300年かかって理解したこと。人生はこの木の枝のように、選択を誤ると二度と元には戻れないと。この木にまつわる絶望の話を語る男。男が友人の弟を死なせてしまった。友人が仇を討とうとする。男は友人と斬り合うのを避けようとしたのだが叶わず、自決したのらしい。この絶望のせいで木は咲かなくなったのだという。
 
 2話目 一変して現代。木の陰からギタリスト登場。黒子がアンプを持ち出し、演奏が始まる。そのBGMで国籍不明のガンマン2人登場。一番を争って撃ち合いとなる。黒子が卓球台を持ち出し、弾丸でピンポンするというギャグ。互いに曲芸的な撃ち合いをするが当たらず、結局、背中を合わせて5歩歩き、振り向いて打つという決闘方式になる。が、1人が4歩目で振り向いてしまう。相手は撃たずに去る。
 銃声がちょっとチープな感じ。
 
 3話目 学生2人。純情を貫くため、女性に能動的に関わることを拒絶し、天命を待つ。彼らの女性観は妄想的になる。この辺から、男子高校生的ギャグでぐだぐだになってきて、最初のきりりとした武士と同じ役者とは思えなくなってしまう。
 
 4話目(順序が違うかもしれないがパンフレットがないので分からない) 喪服の2人、友人の葬儀の帰り。1人は葬儀を欠席。回想される学生お笑いトリオ、ゴマプリンアンドーナッツ。死んだ友人は卒業後トルコに行き、3人でプロになるという夢は叶わなかった。2人は言い争うが、終には2人コンビでお笑いをする。この辺で集中が切れたせいか、話がよく思い出せない。
 
 5話目 古いしきたりに縛られている村。生け贄になる男と彼を助け出そうという友人。友人は昨年の犠牲者の息子であるようだ。何か不祥事があったようで、彼の家族は非業の死を遂げている。必死に説得する友人に冷静に対応する男(白装束)。結局、男は友人を水の入った瓶で殴り昏倒させ、村人に追放させる(つまり助ける)。
 
 狂言回しの侍(の幽霊)が言う。そうか、人生はこの木の枝のように、どこまでも枝分かれしていく。生きている限り、先はあるのだと。絶望が希望に変わったようだ。
 
 エピローグ 1話目とまったく同じシチュエーション。しかし、自決の場面で木が騒ぎ(前の話の中でも要所要所で木はざわめいている)、男は自決に失敗。相手にわざと斬られようとするが、相手が刀を止め、死なずに済む。相手の男は刀を収めて去る。伝説が変わったのだ。この結果、木は美しく咲く。客席上下からのライトで桜色に染めている。
 
 
 「漢劇」と称するだけあって、男っぽい。殺陣は一見の価値がある。殺陣だけでも1000円の価値があるかもしれない(ちょっと言い過ぎか)。無言で延々と斬り合う2人の男が、あたかも会話しているように見えて、黒澤明の映画の一場面でも見ているような気がしてくる。なかなかできないことであろう。
 所々の仕草は歌舞伎っぽいというか、表情は人形浄瑠璃的に見えた(というか新国劇か)。台詞は明快で、文語調。大きな声がいっそ気持ちいい。
 団員に女性も加わったせいか、衣装はきちんとしていた。ギャグは今ひとつ洗練されていないが、刀の扱いはかなりのものである。自分たちのスタイルを追求しているのが素晴らしい。
 ちょっと褒めすぎたか。
 客席は平台を組んで緩い階段状にしてあり、見やすさに配慮していた。
 
 楽しく過ごさせてもらいました。