春めいてきた。先日、一日中降り続けた淡雪もすぐに消えた。

 最近観た映画(レンタル)。
 棚から気の向くまま取り出して借りている。観たのにもう忘れているものも有るかもしれない。

 深津絵里内野聖陽の、メールのやりとりを通じた恋愛。二人とも若い! 純愛もの。
 同じアパートに住むミュージシャンにストーカー行為をする若い女。日々ゴミあさりをして男の個人情報を手に入れ、同じタバコを吸い、捨てた服を手直しして着る。しかし、実はみな相手にばれていたことが判明。自分の手で、貯めたゴミを夢の島に捨てて出直す。
 妙な映画だった。柴咲コウが出演している。

 「夢の中へ」 園 子温
 やはり田中哲司はいいなあ。ワンシーン、ワンショットで撮るという手法で撮影されている。オダギリジョーが吹っ飛んだ演技をしている。井上陽水の歌がモチーフ。

 「砲艦サンパブロ」 ロバート・ワイズ 1966年公開(田中哲司が生まれた年か…)
 スティーブマックイーンとキャンディスバーゲン、リチャードアッテンボローマコ岩松ら。
 1926(昭和元)年から1927(昭和2)年にかけて、揚子江を示威と米国人人命救助目的で上り下りしている老朽艦「San Pavro」(乗組員は「Sand Peblle」と自嘲的に呼ぶ)があった(虚構だが)。
 折から蒋介石(ジャン・カイ・シェックと発音している)の国民党軍は共産党軍と抗争していた(実際は国共合作していて、北伐軍に加わっていたはずだが)。長沙の米国領事館は国民党軍から強引に接収されてしまうが、兵は手が出せず、民衆から辱めを受けながら艦に戻らねばならない。
 万県事件で英国軍が戦闘したのを聞いても米国軍は挑発に乗って中国との戦争に引き込まれてはいけないという方針で隠忍自重する。しかし、共産党軍に機関助手の中国人を虐殺され、伝導牧師を救出するため中国側の防御線を強行突破する。激しい戦闘で傷つき倒れる兵士達。
 3時間の長尺でインターミッションもあるが、重厚な画面と演技で飽きさせない。
 撮影当時の中国は文革の最中だったので、台湾と香港で撮影されたらしいが、昭和初期当時の長江流域の雰囲気は良く出ているのだろう。(今は洞庭湖もずいぶん小さくなった…)

 BC級戦犯裁判において、米国の日本本土爆撃が無差別爆撃という戦争犯罪であったことを追究した稀な例。横浜で行われ、名古屋空襲で撃墜されパラシュート降下して生き残った米国兵27人を斬首した東海軍の行為について裁かれたもの。
 3月の東京大空襲以上の規模で行われた6月の熱田空襲。軍基地・工場・民家無差別に爆撃され何万という老幼婦女が焼死した。地獄のような空爆下、軍は一部裁判無しに略式手続きで処刑していった。捕虜ではなく、ハーグ条約違反の戦争犯罪者として処刑したという判断だ。
 司令官(藤田まこと)は全責任を負って部下をかばい、死刑判決を受ける。
 米軍法には、報復を認めるという条文があることが述べられている。そして裁判長から、斬首は報復か、と問われる。岡田中将は、そんなことは考えていない、報復ではなく処刑であると断言する。
 日本人ならそう言うだろうという気がする。もし報復だったと言ったら、米軍自身が認めていることなのだから減刑されたのだろうか? 
 米国はきっと、空襲(原爆を含む)への報復を恐れていたのだろうなと思う。70年を経て、漸く米国の懸念も薄らいだのか。岡田資の法廷での最後の発言が感動的である。

 捕虜の殺害、それも日本刀での斬首というと、ISISの残虐行為との類似性を考えるかもしれない。神風特別攻撃と自動車爆弾など自爆攻撃との類似性もそうだ。しかし、特攻とテロとの違い、斬首による処刑と犯罪としての殺害との違いは明らかだ。岡田については、判決後に、米側から終身刑相当とか絞首刑でなく銃殺刑(戦死同様の名誉となる)とすべきなどの意見が出されたという。


【追記】
 やっぱり忘れていた。
 「乱暴と待機」 監督・脚本・編集:冨永昌敬 原作は本谷有希子 2010年公開
 これもまあ変わった作品だった。きらいじゃない。
 浅野忠信という役者は変な役を多くやる(と思う)。小池栄子はなかなかいい存在感を持っている(と思う)。山田孝之は「勇者ヨシヒコ」の記憶が強い。