陽が差すと道路が乾いて気持ちがよい。地面から、氷になった雪をはがす。

 いろいろなことがあって、それについて何か書こうかと考えている内に日々は過ぎていく。
 錦織は勝っているがサッカー代表は負けた。日本人のメンタルは強いのか弱いのか。
 
 日本人がISISから人質にされて、72時間と期限を切った殺害予告があった。どういうチャンネルで交渉すればいいのか探っている内に期限は過ぎて、今の時点では1人が殺害されたらしい。虚偽であればいいとは思うが…。もう1人の方が無事に帰ってくることを切に祈ります。
 
 
 
 その脅迫画像が加工(コラージュ)されてツイッターに流れている。一種の風刺的ユーモアかと思うものもあるが、悪ふざけにしか見えないものもある。
 しかし、これとフランスの風刺雑誌の画とを考え合わせると、今回のものには、相手の用いた映像を使ってやり返す、相手の込めた意図(脅迫、威嚇)を茶化して弱体化させるという批判の仕方が見て取れる(ような気がする)。
 「シャルリーエブド」の表紙絵が、過激組織の犯罪行為に対する批判というより異教批判のようになってしまっていたのとは違うだろう。
 
 変な連想だが、大震災の後、テレビ番組が軒並み震災関連のニュースになって民放もCMが流せず、ACの広告「あいさつの魔法」が延々と繰り返されていたことを思い出す。もう見ていると気が狂いそうなくらい繰り返されていた。ある時、ネット上に「グレートおはよううさぎ もとい、ありがとウサギ」というパロディアニメが流れているのを知った。あれは不謹慎な悪ふざけだったか、苦しみの中に笑いという救いを見出そうという行為だったか。…いや、日本人のユーモア感覚というものについての何かのヒント、ぐらいにしておこう。
 
 
 この間の国内の反応は、かつての人質事件の時のように、家族が「自衛隊を撤退させてください!」と詰め寄るような(今回なら「2億ドル払ってください!」か)ことはなかったようだ(良し悪しではないが)。
 しかし、首相の中東歴訪の最中に脅迫があったため、首相の責任を問う発言があった。『あべ憎し』の人たちは本末転倒、非難すべき相手を見失って、とにかく首相の個人攻撃をしたいようだ。その異様さに逆に驚かされたりする。
 人質になった1人は自分の事業のために危険を承知で現地に渡航し、昨年から過激派組織に捕まえられていた人だ。首相や日本の言動に対抗して拉致が行われたのではない。それに、以前には単なる興味本位でか地域に入った日本人旅行者?の若者を捕まえて殺したことがあったと記憶する。そういう相手なのだ。
 
 200億円払って済むものなら、日本国民1人あたり200円出せばいいのだから「簡単」だ(裕福な人は貧しい人の分も払えるだろう)。だが話はそんなものではないのは皆承知のことだろう。
 「文明」対「野蛮」の戦いだと言う人がいた。そうだとして、日本はどちらの側に付くか明確に表明しないで、傍観者でいようとするのか。国益に直接の関係がない地域だから放っておけという人もいる。しかし、イスラエル対アラブの争いに直接関与せずクリーンハンドでいたのと、今、イスラム過激派が(同じイスラムの人たちにも)行っている非人道的(野蛮)な行為を非難し、被害者に救いの手をさしのべることとは別なのではないか。
 
 警視庁の特殊部隊や自衛隊が現地邦人の救出活動に行けるわけでもない。もっと前線から遠い地域で経済(商業)活動に携わる民間人や日本大使館員などが拉致された場合も同様だ。
 ヨルダンやトルコなど各国の協力が得られている現状は、中東の人々の日本に対する信頼と評価を信じるに足るものだろう。