漢劇WARRIORS第5回公演

 平成27年1月18日(日) 13:30開演 14:00開演 15:45終演
 山形市中央公民館ホール(アズ七日町6階)  入場数120くらいか、昨夕の回は90人くらい
 「サムライズム THE Nexus」 作、渡辺悠介  演出、青野耕平
 
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 開場時刻から入場者が絶えず、2回上演で200人を超える集客力は立派である。
 緞帳上がると、舞台中程の線に長さ240㎝くらいのポータブルステージで90㎝の高さが作ってある。中央が1mほど空いていて、間を通るが、平台が1枚橋に渡してある。これがただ置いてあるだけで、上を移動するので少々心配した。後で取り外すために固定できなかったのだ。下手は平台と箱馬で2間巾、2尺1寸の高さにしてある。抜き板で斜めに補強してある。上手は別のポータブルステージ。袖際は一段低く60㎝になっている。これらの奥に平台と箱馬で高さが組んである。上手と下手に山がある感じ。けこみは一切無いが、ポータブルの金具に紐か何かが撒いてあるようだった。この台上で激しく動き回る。
 その後の線に中割幕が半ば引いてある。ホリゾントには大黒幕。簡素というか色彩的にも寂しい感じではある。砦という設定だからなのだろう。
 照明はサス明かりが中心で、前明かりは少なく、暗めだった。バックサスが目立った。大臣柱にスポットと花道にパーライトがあって、これで照らすと全面がくっきり見える。袖からの出入りが激しいので、SSに接触して当たりが変わることに注意すると良い。
 
 戦国時代も終わり、豊臣秀吉朝鮮出兵を行う頃の時代。ここ東北でも「邪魅(じゃみ)」と呼ばれる物の怪?の一団が跋扈していた。これに対抗して「頼光(らいこう)」と称する戦闘集団が作られた。激戦の中で強者も倒れ、砦も奪われそうになる。司令官は中央に戻りたがるばかりで、部隊の指揮官は苦悩する。侍の中に笛を吹く者がいて、これが不思議な力(死んだ侍達の霊を呼ぶ)を発揮する。
 両者の戦いがこの芝居のほぼ全てである。
 殺陣+戦隊もの+RPG+歌舞伎(の見得)+新感線、といったところか。殺陣はかなり見せるものがある。ずいぶん稽古しただろう。中心になる佐藤陽介の技、動きは勿論のこと、戦闘場面に登場する人数も多く(味方の兵卒達と邪魅の下っ端達=ショッカーみたいな)、型のバリエーションも豊富である。観客も「すごい」という感想を持っただろう。しかし、こればかりが続くとさすがに50分くらいで飽きが来てしまった。エンターテインメントとしてはもっと別の要素を入れた構成が必要だろう。
 ストーリーとしては、105分間ある割には伏線や背景の書き込みが浅い感じがした。
 村が襲われるシーンはあるが、村人は一人も登場しない。この辺が、男たちの戦う意味が今ひとつピンと来ない理由かも知れない。良い例かどうか分からないが、たとえば「七人の侍」はあの農民達がいるからこそ、戦いの切実さが理解できるのではないか。
 また、無理解な司令官が唐突に登場するが、はじめからこの組織や砦の状況を整理しておいたほうが分かりやすかったのではないか。物資補給の依頼なども伏線として出しておけばよいのではないか。
 朝鮮出兵が取り止めになると邪魅たちの活動も弱くなるという説明があるが、だとすれば人の心の闇が生み出しているということなのだろうが、敵ボスの「サトリ」が、割に普通の侍に見えるので、その辺の説得力もいまいち弱かったか。
 
 音響は斬撃や太刀打ちの音を上手く合わせている。ただ、欲を言えば、笛の音も、生ではなく音響で入れた方が効果的だったのではないか。
 背景が黒いままだが、「お前の言っていた青い空か」というような台詞があるので、ホリゾントを使っても良かったかも知れない。
 
 男だけというユニークな劇団の芝居。男も、戦い、激しくぶつかるだけではない面があるだろうから、その辺を取り入れてみたらどうかと思ったりする。次回第6回にも期待するところ大である。