劇団山形第78回公演

 平成26年12月20日(土) 14:00開演 16:04終演  (19日夜の部もあり) 
 山形市中央公民館ホール  入場数500くらいか?
 「をんな善哉」 作、鈴木 聡  演出、安部信子
 
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 東京下町の小さな和菓子屋。主人夫婦は亡くなり、その娘がキャリアを捨てて跡を継ぎ、老職人と二人で店を続けている。もう10数年が経ち、主人公も50代、かつての仕事仲間の女友達は管理職まで昇進している。
 この町に地上げの話が広まり、商店街の人々もこれを機会に店を閉めようかという気になりつつある。女友達の彼氏がその再開発ビルにソーラーパネルを設置しようとしている会社で、主人公に商店街のとりまとめを依頼してくる。主人公は迷う。
 そんな中、職人が倒れる。
 主人公は退院した職人の面倒を見、回復するのを待つ。職人の言葉、「こういうふうにしか生きられない者がいる」に、主人公も商店街の人々も感じる所があり、この町は今のままでいこうと一決。再開発は拒否される。
 主人公の、同級生との関係(不倫に傾くかと思われるが、そこまで至らない)も相手の転勤によって終わる。
 商店街の人々の人情、50代独身女性の焦りと友情。ぶつかるときもあるが、そんな時はいつも、老職人の作る甘いぜんざいがみんなの心を和らげてくれる。
 
 正面が尺高、間口3間、8畳の部屋。二間の障子の奥が一段低い厨房(菓子工場)で、ステンレスの流し台や大きな鍋やしゃもじなどの道具が見える。下手が事務室で、木の机がある。パソコンやファックスがないのは、この作品の時代設定によるのだろうか。その奥が店で、商品の棚が見える。下手袖側から格子戸で出入りする。外に大きな暖簾。これは閉店時には事務室と店の間に掛けられる。上手は奥の部屋に続く廊下。その奥にトイレの入り口。奥が店から裏口への通路。
 いつもながらとても良くできている舞台美術。そして照明。このおかげで安心して芝居の世界に入り込み、観ていられる。
 衣装もよくそろえられていて、女友達が登場する度違った衣装なのが見ていて楽しかった。
 
 役者さんたちは達者な人たちばかりで、これも安心して観ていられる。
 欲を言えば、一人一人の表現にもう少し巾があったらと思われる。これは発声が、割と一定して大きな声を意識しているために少し単調に聞こえるせいかもしれないと感じた。
 
 ご年配の方々が多いが、高校生演劇部員たちもいた。長い活動歴の証だろう。来年は50周年。主宰の松井先生に久しぶりにご挨拶できた。オフィス岡田の恵さんがおいでだった。