雑感

 昭和24年7月の下山事件。自殺か他殺か。事件発生から随分後に、ある心理学者が学生たちに様々な証言や事実関係(国鉄の大量首切りという難事業に悩んでいたことなど)を提示して判断させた。学生たちは自殺という結論に傾いた。すると学者はまた別の証言や事実を提示した。それは自殺するつもりのある人物がとるはずもない言動だった。はたして学生たちの結論は他殺に傾いた。
 
 同一人物の言動、周囲の状況のどこに着目するかで判断は違ってしまうという実験である。
 
 某精神科医が現首相の言動を捉えて、その性格や行動に批判的な発言をしているのを読んだ。直接首相を診断したわけでもないし、ごく一部の言動のみを大きく取り上げて意図的に批判しているような印象を受けた。現首相のすべての発言、行動を公平に偏見なしに見てこそ正しい判断が出来るのではないか。まあ、医師というよりコメンテーター的な人なのかも知れないが、リベラルなんだそうだ。
 
 いろんなところで目にする、現首相に対する攻撃はかなりひどい。まるで悪人。時代錯誤的な軍国主義者の扱いだ。民主主義のルールで選ばれた首相をそこまで悪し様に言うのは国民を馬鹿にしていることにもなるのではないか。
 ヘイトスピーチを禁じろと言う人が自らヘイトスピーチをしている感もなきにしもあらず。
 何が正しいのか。基地の工事現場を囲って入れないのが悪で、その封鎖線を突破して基地建設を妨害するのが正義なのか。権力(警察)は悪で、「市民」は造反有理なのか。
 
 私たちは、ワイドショー的なコメントばかり見聞きしていれば判断のレベルはそこに(低次元に)とどまる。特定の政治傾向のある広報宣伝にばかり接していれば判断は偏る。自分で事実を探ることが大事だ。
 
 慰安婦問題。大新聞社が誤報を公式に認めたことで大騒ぎだ。
 もしかしたら「性奴隷」のイメージが「事実」として世界的に定着したから、役割は果たしたのでもうそろそろ嘘を認めてもいいだろうという判断だったのかも知れないなどと思ってしまう。
 
 実際にあった強制の例、「白馬事件(スマラン事件)」について見ると、インドネシアで行われたオランダによるBC級裁判であるが、この公判内容は未だ全ては公開されていない(2025年に公開されるとか)。オランダは300年以上もの間インドネシアを植民地にしていた。徹底した愚民政策。現地の一部貴族階級にだけは教育の機会が与えられた。民族を内部で分裂させる策だ。
 日本軍は9日間でオランダ軍を破った。結果的にアジアで戦った欧米軍の中で最も少ない戦死者だったが、この屈辱から、日本の降伏後、オランダは戻ってきて日本軍に報復的な厳しい裁判を行ったのではないか。各国で行われた裁判の中で、最も多い死刑者を出した。現地の人が無実を証言しているのに有罪になった軍人なども多かったようだ。
 白馬事件についても、軍医は慰安婦の検査だけで治療をしなかったことで有罪になったが、彼の本来の任務が検査だけであり、また性病だったのは1名だけ(それも慰安所以外で感染した可能性がある)という。このへんの事実は2025年に明らかになるのかどうか。
 3年間の日本の支配下インドネシア人の独立への精神的、軍事的準備はなされた。日本兵の一部は帰国せず、PETAとともにオランダ軍相手に戦った。
 先日最後の残留日本兵が亡くなられたというニュースがあった。
 
 インドネシアでも慰安婦を見つけ訴訟を起こさせようとした日本人がいたようだが、現地の人は応じなかった。白馬事件の被害者は300年間支配者として君臨した白人だが、当時の現地の人々はそれを見てどう感じていただろうか。
 
 国連から勧告が出ているようだが、全ての資料を出せというなら、強制連行された韓国(当時朝鮮)の方に資料があるだろう。中国でも鉄証如山といっているのだから、当の韓国にはどっさりあるだろう。
 朝鮮人の女衒、慰安所経営者も多かったのだから、その人々の証言を出せばよい。日本兵人狩りをしたかどうか、朝鮮人警官や村の役人は何をしていたのか、娘を強制的に連れ去られる家族、村人は何をしていたのか(警察に訴え出なかったのか)、証言、記録を集めればよい。そういった関係者は慰安婦本人の何倍もいるはずだ。そのほうが、日本を責め続けるよりはるかに手っ取り早いだろうに。