オフィス3○○音楽劇 山形公演

 「あかい壁の家」  作・演出 渡辺えり  音楽監督 近藤達郎  劇中劇作曲 中川晃教
 平成25年8月20日(火)  山形市 シベールアリーナ(満席)
 13:30 開場  14:06 開演  16:34 終演  16:38 カーテンコール終
 C7席で観劇(舞台面より低く、若干見づらくはあったが近いのがよい)  前売り4000円(全席指定)
 
 東京本多劇場での公演後、新潟、山形、仙台(青年文化センター)、岩手(久慈市文化会館アンバーホール)、福岡、広島、兵庫、金沢と公演が続く。従って、これからご覧になる方にはネタバレになりますのでご注意ください。
 
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 緞帳開いている。舞台面には模様のある敷物が全面にある。端にマイク数個。
 下手に袖から3段の階段状の台(幅9尺)。段の下手袖際にモスラのタマゴのような模様入りの楕円形物体がある(これは後でテーブルであることが分かる)。中央にキーボードと椅子、跳ね返りのスピーカー。上手袖際にドラムセット。1サスより後に、下手から1間ほど出ている高台、高さも1間くらい。洞窟的な穴が作られていて、布と材木で覆ってある。そこから続いて斜めに中央に向かって9段の階段。幅は9尺。布で覆ってあり、ポンペイの劇場遺跡の観客席という風情で色がつけてある。布なので、前面が暗くなり背後から照明が入ると透けて見える(洞窟シーン)。上手からも対称的に高台と階段が出ているが、下手より少し奥に位置している。高台は足場だけ。上奥に金網のフェンス。
 下手階段を前、奥に挟むようにトラスが立っている。奥の物は途中までローマ式の大理石柱風になっている。上手奥にも柱が見える。これらのセットは芝居後半に、それぞれ袖に1間ほど(高台分)押し込まれる。
 中央が空いていて、奥が見通せるが、遠見の山がある(これも途中で袖に引き込まれる)。山は黒くて白いひび割れのような線が入っている。、稜線が太く赤く縁取られている。ころがしで明かりが当たっている。背景は黒幕。
 途中、吊り物のカーテン(赤い)と窓が降りてくる(上、下、中央奥)。
 途中、数種類の椅子やテーブルが出される(白や緑色)。
 
 始まりは轟音。水(流れ)の音、水琴窟のような水滴の音。舞台上やサスバトンにもスピーカーがあった。役者の多くはピンマイクをつけているので、大音量の音楽の中で歌っても聞こえる。
 
 水原凡平(中川晃教)の歌、生演奏、芝居。これに絡む紅島小太郎(若松武史)、大女優(緑魔子)ら。
この3人の役者の迫力が劇を支えている。特に緑魔子が一人語る場面は感動する。
 30人近いキャストが出入りし、楽器を生演奏し、歌い踊る。
 
 イタリアのポンペイ遺跡。観光客ガイドと発掘する学者。そこのオデオン劇場跡で行われるオーディション。オデオン座を探して(空間を超え)紛れ込む日本人たち。
 オーディションによって役者を選び、「ポンペイの犬」という音楽劇を創ろうというのだ。作者は紅島小太郎という超老人。東北出身の老人は芸術の神の使い魔?である熊と戦って頭から血を流している!
 この老人がかつて(戦前)企画した劇は、特高によって潰された。「言いたいことを言う奴隷は殺される」 女優とその付き人(幼なじみ)は仙台空襲に遭う。生き残った女優はポンペイで観光ガイドをしながら、作者が来て、オーディションが行われるのを70年間待っていた…。
 戊辰戦争以来、戦争、震災、原発事故と、東北地方の受けた苦しみを総ざらいした感じの内容で、奴隷のいたポンペイ=自然の大災害で廃墟と化した地と重ね合わせて語られている。
 
 大震災から2年。プロの劇作家の作品もいろいろなのだろう。この作品は休憩無し2時間半の大作であるが、一部集中を欠いた以外、見続けて飽きなかった(長いと感じなかった)。役者の力(存在感)が大きいと感じた。
 
 構成は奔放で、うちの副顧問M先生なら「えりさん、頭おかしくなったんじゃないかと思いました」と言いそうな勢いである(失礼)。自分も、自分より遙か上がいることに少し安心する(そこか?)。
 
 昨夜の公演もあったのだが、昼の方が良い席が取れそうだったので、年休をいただいて観劇した。