静物画?

 職員会議が延びて、5時半くらいに部室に行く。場練と人形制作が併行している。人は少ない。少々困る。役者は勿論そろっていないが、演出もいない。演出がいないから、ただ台詞を覚えてしゃべっている感じでしかない。どうなってるんだろう。課題なのか? 課題ってなんなのだ? 
 
 スクリーン枠用の角材を買ってきたのだが、ちょうどピッタリで良かった。それにしてもどうしようもない状況なので、明日から早く部室に行って演出しちゃおう。人がいればいいが。
 
 東北大会で生徒講評委員をした子が、定期公演で「静物画」(柳美里、作)をやりたいと言い出した。前々任校(女子校)で17年前にやったので本校でもできないかと数年前に買って、部室に置いてあった本を読んだのだ。望むところだが、はたして他の2年生はどう言うか。
 この作品は、作者20代初めのほぼ処女作だと思うが、前々任校で、柳美里フアンの生徒が持ち込んだものだった。当時、顧問は作者の名前も知らなかった(やなぎみさとさん?)が、その後新聞に出ているのを見つけた。生徒のアンテナの方が性能が良い。無事上演許可もとれ、かなりの好演になったように記憶している。詳しい内容は忘れてしまった。でも10代のみずみずしさがあったと思う。この世代の生徒は、他にもずいぶん難しい作品をやったと思う。
 
 その時の装置は、舞台奥に白い大きな木が1本だけ。下半分くらいが半丸で、上は平板にできている。枝(これも平板)にチュールレースをかけて、照明が当たると色が着くようになっている。最初、装置を受け持った後輩たちが丸物で作った木は背が低くて、トナカイの角のような枝が出ているバオバブの木のようなものだった。あんまりなので作り直しさせた。生徒はどう作ればいいか考えられなくて、だいぶ悩んで相談に来た。そこでアイデアは自分が出し、丸物を切り開いて中身を出し、支えの木組みにハシゴのように角材を立て、そこにベニヤ板の幹や枝(バオバブから流用)を着けた。高さは5~6㍍。会場のタッパに近くなったが、吊らないで人形立てだけで立てた。この木は、会館スタッフの方から「立派な木だ」とほめていただいた。(あきれていたのかもしれないですが。)
 他に「窓」が欲しかったのだが、生徒は全部無対象でやってしまった。ラストはロウソクを持った生徒たちがそろって礼拝に出る。当時はかなり人数がいたので、迫力はあった。
 シスターの衣装を作るのに、仙台のミッションスクールに公衆電話から電話していろいろ聞いたりした。
 バイオリンを弾く少女が出てくるが、これはふりだけで、演奏は音楽科の1年生にお願いし、録音した。(音楽科がある高校だったんですよ。)選曲も丸投げしたが、最適な練習曲を見つけてきてくれて、ノーミスで弾けるまで練習して演奏してくれた。(「イワナガ姫物語」をやったときも、音楽科の作曲専攻の生徒に歌を作曲してもらったが、素晴らしかったです。)
 
 決まったら上演許可願いを出すのだが、どこに出せば良いんだろう?