茨城県より暑い

 四日ぶりの部活。役を割り当てての読み合わせ。部室は暑い!
 
 英語の台詞があるのでALTの方にこの暑い部屋に来ていただき、生徒の英訳を教師に添削してもらった台詞を読んでもらい、役者の発音をチェックしてもらう。録音もした。カタカナ英語ではなく、ネイティブに近い発音がほしいのだ。何でも協力しますと言われてうれしかった。英単語の羅列でコミュニケーションをとる。
 
 
 
 26年度の全国大会も終わった。3日間(前泊あり)のバス乗りと観劇、今日は演劇鑑賞会の観劇ということで、腰が限界に近い。
 茨城県はこちらよりよっぽど涼しかった。
 
 
 最優秀賞が久留米大学附設高校の「女子高生」と知る。キャストの男女を総入れ替えするという荒技に度肝を抜かれた。「イケメン」ではなく(すみません)、「男の娘(こ)」では勿論なく、普通の男子高校生が女子校の制服で女生徒を演じるという、下手したら文化祭の出し物に落ちかねないものを、虚仮の一念で押し通した誠実さが受けいれられたのだろう。気持ち悪くて面白くてせつない異色作だった。
 「荒木~、カムバ~ック!」
 
 優秀賞の大麻高校「教室裁判」、うちでこの本を練習に使ったことがあり、なつかしく観た。
 教室のセットは黒板と出入り口を何とかできれば比較的作りやすいのだろう、いろんな作品で出てくる(窓を作るのは面倒だろうが)。1枚戸の引き戸で出入りするのがやはり違和感たっぷりだが、他県では実際あるんでしょうなあ。
 このお話は安藤が出て来てから活性化する。安藤と久保の性格をどれだけ出せるか。久保の感情表出が少し強すぎたか。安藤はもう少し凶悪っぽくても良かったと思う。
 徐々に夕陽の照明が変化していくのが良いと思った。
 
 青森中央高校「翔べ! 原子力ロボむつ」は東北大会でも観ていて、やはりすごかった。舞台(そして客席)上に生み出された「もの」の深さでは随一だったと思う。その点からすると他の作品は一段浅く、そしてみなほぼ同列だったと思えた。
 
 観音寺第一高校問題のない私たち」は、「やりやがったな(笑)」(失礼)という感じ。面白かった。
 よくこれが全国まで生き残って来れたものだと思った。高校演劇の評価問題そのものを題材にして、さあ、評価してみろというわけだ。疑問と反発は明瞭に伝わり、共感する所も多いが、じゃあ君たちは何を目指すのか、がないから言いっぱなしで終わった感じだった。
 生徒の悩みをネタにしようとする、「さもしい」顧問の反省もあって、みんな大変なんだなと思う。
 
 池田高校「麒麟児 -killing G-」 装置が舞台美術賞を受けたのは分かる。櫛形の開帳場、単管を使ったシンプルな装置。その外側に下から照らす灯体を吊るというアイデア(客席天井に当たるわけだが)。おもしろい。LED灯体は持ち込みなんでしょうかね。
 お話は、最後の方の台詞「ダメな自分は否定しなさいよ! 否定して、否定して、否定して、私たちは成長していくんでしょ?」、「ホントに大事なGまで、殺してないか?」がほぼすべてではないかと思うのだが…。ゴキブリのような(比喩が視覚化されている)自分(のどこか)を否定して(殺して)いく。それでいいのか。
 動きはダイナミックですばらしいのだが、繰り返しが多く、それが螺旋状に上昇・下降しない(と見えた)ので、次第に飽きてしまった。場内の評判は良かった。
 
 
 
 大会での照明だが、全体に渡ってシーリングが弱く、暗い感じがした。あるいは2サスにムラがあったようだ。また、遠見がローホリの後にあって、影がもろに出ていたり、照明スタッフの打合せがどうだったのか気になるところではある。まあ素人考えですが。
 
 表現方法で、舞台的発想から作っているか、それ以外の、映像とか小説とかの発想で作っているか。発想の中にカメラワークが入るか入らないか。スクリーンの中で発想しているのではないかと思う場合もあった。いやどんな方法だってあっていいのでしょうし、各ブロックで選抜されてきたのだから、評価も高いのでしょうが。
 
 全体に、お話・台詞の中で「戦争」を暗示、示唆するところが多かったように思う。現在紛争があり多数の死者が出ている地域もあり、日本の戦時賠償と謝罪(慰安婦問題?)、集団的自衛権の容認などを問題視している向きもあるようだった。しかし、こういった問題のこういう扱い方は無責任で浅薄で安易な感じを与える。こういった扱い方で、内容に深みや広がりをもたせているなどという言い方はできないと思う。自戒も込めて。
 
 開会式の挨拶で福島の原発事故と並んで集団的自衛権容認を現在の困難な問題として挙げていたのも引っ掛かる。少子高齢社会でもなく地域社会・自治体の消滅でもなく地球温暖化でもなく、その他の問題でもなく、それが問題としてあげられることに違和感を感じた。