大概、好みの問題なのだ

 この3連休も部活三昧。昨日は抜き差し蝶番付けとパネルの補修、紗幕の縫合で一日仕事。抜き差し蝶番は、右抜きばかり買ってきたが、左抜きも必要だった。どのパネルにどの人形立てを持ってきても取り付け可能なように同じ位置に付けた。紗幕(寒冷紗)の縫い合わせは今日までかかった。
 今日は場練と廊下の片付け。最初、グランドで発声。ソフト部の練習試合前。
 場練。少しずつ、意味づけがはっきりするように演出していく。こういう密度の向上は限りがない。しかし、時間の限りはある。明日から試験前部活禁止で、次は10月3日再開だ。10日には県大会会場でリハーサル。
 気候の変わり目で風邪をひく部員が出て来ている。疲れもあるだろう。休憩時間中にも英語や数学の課題をやっている。
 
 
 動画投稿サイトで丸子修学館の「K」を見る。国立劇場での上演のようだが、正面から撮影している。
 カフカの代表的作品を構成し、父親の影響から自立できない姿に現代の高校生の抱える悩みを重ねている。構成はとてもよくできている。
 装置は横向きの開帳場で不安定な世界を視覚的に表現。その上で大勢が動くには、かなりの練習時間をかけただろう。照明も影を出したり、シルエットにしたり、工夫を凝らしている。
 ただ、演技は、観客を楽しませよう(自分たちが楽しもう)という意欲が強く感じられ、ギャグがコントに傾く気味があった。悪のりじゃないかと思われる部分も多く、あまり感心しなかった。(全くの個人的好みです)
 
 
 「ROCK U!」同様、高校演劇はすべからく若さを爆発させるべく、いきいきはつらつしてなんぼの世界なのだろう。静かで動きが無くて分かりにくく、笑いもない作品は高校生らしくない。
 というのが今年の全国大会の審査傾向だったように感じる。(まあ、時事的問題の絡む作品もあって、その部分での評価も一部あったようだが)
 
 
 自分の好みは名取北高の「好きにならずにはいられない」だ。なぜか。
 それは、芝居という物を、事柄にたいする人間の感情がどれほど深く、細やかに表現されているかという点で見るからだ。本当に微妙な違いなのだろうが、喜怒哀楽をパターン化しないで、その役柄のその時だけの心情に迫る。
 「どうしてとうさんなの。どうして幸なの」という台詞を自分で言ってみれば良い。
 事柄を描くとは、そこにいる人間を描くのであって、いかにその特殊な人間に迫れるか、そして同時に普遍的な「人間」の心の底に流れるものを描けたか、そういうところに関心があるからだ。
 60分間でどこまで深められるか。解決するというのではなく、観た人の多くが、何か深く共感してくれるものがあったらいいなと思って芝居作りをしている。