前売り400円 当日500円 入場数35人くらい 13日(土)18:00~、14日(日)13:00~にも上演
「八月のシャハラザード」 作、高橋いさお 演出、渡辺佑斗
卒業した部員が入団し、出演しているので観に行った。西村山地区の高校演劇部を卒業した男の子も出演していた。ちなみに、同大学のサークル「舞台工房」に入部した人は農学部、工学部ばかりでいずれ鶴岡、米沢へ移ってしまうのだそうだが、「めざましどけい」の入部者はみんな人文系なのだそうだ。
受付でT田さんに会う。宣伝美術を担当している。下がパンフ。
緞帳開いている。下手半分に平台が4段の階段状に組んである。下が幅3間、上が2間で、ピラミッド型に奥行きも狭くなっていくので、どう組んでいるのか考えてしまった。けこみは濃い紺色。この高台の上から裏に落ちる設定がある。下手に黒いボックス2個。後で下手にはボックスが増えたり、鏡台と思われる黒い台が出される。この出し入れは役者が行う。転換は上・下照明で分けて行うので、衣装のままの役者はどうしても見える。
屋内(劇団の稽古場、アパート、カラオケ店など)は主に上手で演じられるが、最初、屋内外の区別が分からなかった。それに関わって、小道具もどこまでを無対象にするか難しいかったかも知れない。
ホリゾントは全面使用。朝焼け、夜、雨、夕焼け。
客電落ち、暗転すると同時に大音量の音楽。浮き輪を着けた男とスーツの女。若干の会話の後、暗転して上手ホリゾントにビデオ投影。タイトル、キャストなどが出る。
キャストはうまくはまっていたと思う。強盗の川本役などけっこういいと思った。Aさんも良かったよ。
高橋いさお作品、作者には県の生徒リーダー研修会講師をお願いしたことがあり、サブテキストを考えるということを教えていただいた。
この作品(脚本)の感想は、2時間の作品にしては軽いというか、前半退屈したというか、死者をあの世に送る案内人の存在、恋人?を残して溺死した貧乏劇団員と仲間に裏切られて殺される強盗の関わりが、「おもしろくまとめられている」というところにとどまっているのではないかという感じである。
作者の他の作品もよく学生演劇や高校演劇で演じられるが、とっつきやすい面があるのだろう。そういう面で言うと、某脚本投稿サイトで上位の上演回数を記録している作品にも同じような感じを持つ。面白く楽しくやれる作品ではあるのだろう。
以下、作品への感想からは外れていますのでそのおつもりで。
半年前まで高校生だった人が学生演劇で演じている。違和感はない。
高校演劇、高校生らしい演劇、というものを想定するとして、学生演劇、大学生らしい演劇というものも想定できるだろうか? 同じ人間が舞台にいるのだが、この半年で何か変わったろうか。…環境が変わったか。高校教育の中にある部活動としての演劇部と大学生(多くは成年)の自主的なサークル活動とは大きく異なるのだろう。前者では教育活動として、表現の適切さということを考えなければならない。後者はかなりの冒険的な表現も可能だろう。これは演じる人間の発達につれて幅広くなっていくのだろう。
一方で「高校生の若さ、純粋さ」というものへの信仰にも似たとらえ方があって、高校演劇をその視点から他の演劇と区別して見る向きが多いのではないか。自分はそれを全然否定しないし、そういう実感も持っている。
ただ、「高校生の若さ、純粋さ」といった観点に傾きすぎた芝居作りばかりでは、いずれ高校演劇自体が痩せていくのではないか。そういう傾向の高校演劇脚本を中学生が演じているとき、それは中学演劇なのか?
また、大会の審査で殊更この観点を持ち出すと、時として表現の拙劣さが見過ごされてしまう場合があるのではないかという心配(杞憂)もあったりする。まあそれはそれで一貫してずっと上位の大会まで評価されつづければいいのでしょうが。