あと6日

 風が冷たい。校内の木が剪定されている。冬への用意か。
 
 8時から部活。午後に通し。昨日が58分58秒。今日が58分14秒だったか。5間幅の部室でやっているので、袖幕の間が7間半ある舞台とは違う。暗転中の転換要員の出入りに時間がかかる。暗さも時間を食わせる。そのため、でもないが何カ所か台詞をカットした。
 昼の部活では暗幕があっても隙間からの光で明るいが、放課後の部活だと本当に真っ暗な暗転が出来る。
 
 聞いていて言葉がダブるような感じがするところを変えようかと言うと、いまさらという顔をされる。生徒は言いにくい台詞も必死で覚えてくれているのだ。まあ、素人の悲しさで、60分間すべての台詞が絶妙というわけにはいかない。
 提出した台本に誤字を発見する。「鳴かない自分を当然だと思っている自分が今した」 大笑いした。ああ、恥ずかしい。
 
 顧問が脚本を書く部の部員は、活動成果の大きな部分を顧問の力量にゆだねている。書く方はそれだけの責任を負っている。今の部員にとって最高・最適の作品になったかどうか。いや、どうやってそれが判断できるのか。大会成績によってか? 大会になると、どの部も最高の力を出してくるから少しの差で成績も変わってしまう。素人の出来る範囲では結果を保証しかねる。つらいところである。
 
 でも一昨年、去年とほぼ最高の結果を出すことが出来た。そういえば、この2作品はずいぶん取材をしたなあ。今年の作品については、養護学校に行くとか、障害者施設に行くとかの取材をしなかった。しにくかったということもある。でも、もしそういう取材をしたとしても、生徒自身が事実を消化しきれなかったかもしれない。苛酷な現実を、作者というフィルターを通して知る方が結果として良かったのだと信じる。
 
 あとは生徒を信頼するだけだ。ただ安全面の確認は最後まで顧問が責任を持ってやらなければならない。暗い中での昇降(4尺9寸高)はやっぱり危険だから。