2011-01-02から1日間の記事一覧
注1 たまたま目に触れた大修館書店「漢文教室」一八六号(平成十二年五月)掲 載の小出貫瑛氏の論「項羽の「笑い」―「項羽本紀」の感情表現」でも、人間性を 呼び起こされたものとされている。 教科書指導資料の例を挙げると、「楚の名将の血を引く自己の誇…
(3の続き) 伍子胥列伝第六に「人衆多勝天、天定亦能破人」とある。一時的には人が主導権を握っても、最終的には天命が勝ち人事は破れるというのである。だから、項羽のように、人間の身で運命に反抗できると思うのは誤りである。項羽本紀の太史公論賛に見…
(2)の続き 6、「笑」の検討 「天が私を亡ぼそうとしているのに、どうして渡れようか!」 この言葉の意味は、予定された運命に従おうということではない。 項羽にしてみれば、これまで天が自分に与えた窮地をすべて自力で脱し、九死に一生を得てきた。今…
(1)の続き 5、「天之亡我」の検討 「天之亡我」。この言葉は項羽本紀後半に三回現れる。最後の一回を除いて、いずれの場合も「非戦之罪」と対比されて出てくる。これは、「現在の状況は、自分の戦いの仕方が悪かったせいではない。」と読める。項羽は二…