生徒講評委員会

 生徒講評委員会。せわしいけれど、あんなに楽しいとは思わなかった。生徒たちも初めはひどく緊張していたがすぐにうちとけて、生き生きと会話していた。2年生が多いが3年と1年が1人ずついる。
 開会前日、事前研修で生徒講評の理念とやり方のレクチャーを受け、「黒塚Sept.」のビデオを見る。そして全国の生徒講評を読む。すごい。芝居もすごいが、講評も短い時間でここまで書くかと感心する。試験的に「黒塚」への感想・意見を述べ合う。
 
 翌日から講評活動が始まる。幕間に急いで3階に移動し、観たばかりの芝居について率直な感想を述べ合う。あるときは言葉がはずみ、あるときはなかなか言葉が出てこない。純粋に芝居に反応している。そして、必死に理解しようとしている。他の委員の言葉に耳を傾け、自分の気持ちをせいいっぱい伝えようとする。我々大人とはちょっと違った視点。もちろん未熟で狭いものでもある。しかし、8人プラス1人(うちの付き添い)が議論していくうちに、それは結構な批評となるのであった。司会も生徒が交代でする。
 
 顧問はタイピストになる。彼らの言葉をひたすらPCに入力する(2人でやる)。宿舎に帰って、夕食後、再び議論となる。顧問もちょっと問題提起したりする。生徒はすごく良く反応してくれる。その議論もタイプする。それをプリントアウトし、担当生徒と顧問とで文章化する。これがなかなか難しい。PC6台を使い、深夜までかかる。翌日、それが印刷されて、ロビーに並ぶ。
 最終日の2本に当たった委員は大変だった。幕間の討論だけで書かねばならず、閉会式前に講評をまとめるためには、生徒は結局昼食を食べられなかった。そして会場のみんなの前で講評を述べなければならない。女の子はびっくりするほどしっかりと話していた。男の子は、話し合いの時は2人とも鋭い意見を述べるので感心したのだが、舞台ではいささか調子がおかしかった。男は元来照れ屋ということか。
 
 自分は観劇感想をその都度書いているので、こういうことに少しは慣れているが、委員たちの話し合いをまとめるというのはまた別であった。なるべく羅列的にならないようにと考えるが難しかった。
 
 委員たちがなかなか言葉を出せなかったお芝居は、「私たちはサルではありません」と「桜の森の満開の下」だった。圧倒されていた。ただ、それが「感動」であるのか何であるのかはよく分からない。
 
 福島県の担当顧問の先生方には本当にお世話になりました。いたれりつくせり、講評に専念できるように配慮していただきました。生徒ともども、芝居漬けの楽しい4日間でした!