DOPE NOSE PROJECT 旗揚げ公演

平成28年1月16日(日) 17:00開演 19:13終演  
山形市民会館小ホール
入場料前売り1000円  入場数 70人くらいか

『コウサテン』 3編のオムニバス

 「交差人」(トロワアアングル) 作、原田和真
  出演  原田和真 伊藤航洋 岩下美里
 同居している彼女は、夜出かけてばかり。なんと友人といっしょにいるではないか…。

 「Corner」(DOPE NOSE) 作、佐竹悠哉
  出演  原田和真 小澤五月
 つきあっている彼氏は宇宙人か? そして、その友人もまた…。

 「源八橋西詰」(劇団Billyz) 作、後藤ひろひと
  出演  亀井泰樹 佐竹悠哉 伊藤 穂 土田貴子 新関麻美
 ①流行らない劇団がコント劇団に衣更え。新劇からコメディ専門役者へと変身する女優。最終的に
  どんな馬鹿馬鹿しい汚れ役(虐待されるお笑い芸人のごとき)も平然と引き受けるようになる。
 ②4年間で6人のOLを殺した男の弁護を引き受ける男、きちがい屋。犯人を多重人格に仕立て上       
  げ、無罪にするというプロ。その偽装がばれたらかえって心証を悪くして死刑は免れない。はたし
  て首尾は…。
 ③病院で隣り合わせになる男女。女は幼女っぽいふるまい。男は生真面目に女の語る話に耳を傾
  ける。「河童ミイラちゃん」という残酷で哀しい哀しい話。男はかつて女と共同でお話を執筆して
  いた。今女は事故で記憶を失っていて男のことも認識できない。男は「河童ミイラちゃん」の話を自
  分の作品として発表しようとする。


 舞台は小ホールのステージに縦長の細いパネル(白)を6枚立て(2枚は上下の手前に、他は奥に並んでいる)、それぞれの間が空いている。奥の4枚の間はさらにパネルがあるようだ。このパネルにプロジェクターで画像を投影する。
 役者はいずれも達者で上手だった。脚本としてはやはり、後藤ひろひとのものが素晴らしい。
 自分としてはたいへんおもしろく観させてもらった。
 ただ、人によっては物足りない感想を持ったようだ。悪魔に魂を売る人達(金のために自分の信条を曲げ、良心を捨ててしまう)の、その一線を越えるまでの心情をもっと表現できたはずだろうというのがその理由だ。確かにそうかもしれないと思った次第だが、観ているときには、河童ミイラちゃんの話に圧倒されて、そういう所は気にならなかったのであった。幸福の王子」をバージョンアップしたみたいな話なのだが、アンデルセン童話の残酷さを受け継いでいるような、その魂の贖罪の厳しさは、クラクラするような衝撃で伝わってきた。
 喜劇的に始まって悲劇的に終わる。この持って行き方がおもしろい。自分にはこういう書き方は出来ない。演じるにはなかなか手強い脚本ではないか、と思ったのだった。

 お疲れさまでした。