劇団めざましどけい ALARM56

 「KANKAN男」 作、佃 典彦  演出、小野有香
 平成25年4月13日(土) 18:05開演 19:32終演
 県生涯学習センター遊学館ホール 入場料500円(前売り400円) 入場数 30名くらい 
 
          イメージ 1 会場前の立看板
 
 
 3回公演の3回目を観た。
 緞帳開いている。舞台上に下手手前から上手奥にかけて緩い角度で線路がある。尺高の台上に角材の枕木とレールがある。下手には白い柵。中央に踏み切り。遮断機と信号機、良く作ってある。信号は点滅する。遮断機は下りない。台上から舞台面にかけて黒いスロープ。幅1間半、斜面は3尺なので角度はきつい。踏切の奥は同じ高さで下手袖に続いているようだ。上手手前に「管理地 三洋不動産」の看板。ホリゾント全面使用。上・下からエフェクト投影する。
 照明、やはり一部暗い部分が出来ている。2サス足りないのか?
 
 以下、ネタバレです。
 
 5分押しで客入れの音響が変わり、暗転して開演。
 溶明すると夜。1人の男が踏み切り上で何かを探している。もう1人の男が登場、喪服で葬儀の帰りらしい。男達が拾い集めているのは遺体の一部。踏切事故にあった体はバラバラになって飛散するということで、それを集めて一つにし、遺族に届けて報酬を得るという商売らしい。しかしこのことは明かされないまま話が進むので始めのうちは何だか分からない。
 場面変わって、テレビを持った男と銭湯に行く女とのやりとり。女は、男がテレビを盗んだのだろうと因縁を付ける。男は否定するが、延々とその繰り返し。この二つの場面に赤ん坊を抱いて、その子の靴を探す女や、箱(棺桶)を売りに来る男女が登場する。
 拾い集めた部品でできたのは、最近事故死したある女性。しかし、なんとその体は男性であった! (思わず映画「送り人」を思い出した) 遺体を斎場に持って行った男は、女性の父親とその会社の従業員達から袋だたきにあって帰ってくる。
 
 風呂に行く女は家出してきたのである。テレビの男は帰れずに女と踏切で飲んだりしている。そのうち汚い幼児の靴を拾う。
 この後、最初の男が踏切に来て、残されたこの女の靴を履き、ネックレスを着けて線路を歩く。ふと子供の靴を手にすると、子供を抱いた女が、見つけてくれたんですね、とか言う。線路の下から手が出て男の足をつかむ。電車が来る。男動けない。信号が点滅し、暗転。
 
 実はこの遺体は、家出した女のものと思われていたが、最初の男のもので、(つまり男は地縛霊)自分のバラバラの体を集めてもらったのだった。ではもう1人の男は? 他のもっといい踏切を探すと言っているから幽霊ではないのだろうが、正体不明だ。それに付随する箱屋、処分屋も、非現実の者たちだ。
 
 最初のうちは二つの場面の関係が見えないので、観客としてはつらいところだ(少し集中切れましたすみません)。後半になって大分話の骨格が見えてくると面白くなるが、別に必然性のある話ではない(無理やりな話)ので、それでどうした? という感じではある。事故死した人間の無念とか遺族の悲しみとかいうウエットな部分は捨てている。体の部品が一体になっていないと具合が悪い。死ぬにあたって何か不足なものがあると死にきれない(消えることができない)。それはそうかもしれないなあ。
 バラバラ遺体の部分を収集するという商売を発想したのは面白い。
 役者さんは皆良くやっていたと思う。舞台美術も頑張ったといえるだろう。おつかれさまでした。お話はなんだかよくわからなかったけれど…。
 
 ポスター、チラシ、チケット、パンフなどはうちのOGのT田がデザインしたらしい。全部違っている。
 
 会場を出て帰宅の途につくと、西の空で細い三日月が笑っていた。