いわき日記 その七

 いわき春フェス最後の上演は地元福島県代表。
 
 上演10 福島県立大沼高校 「シュレーディンガーの猫」
 作、佐藤雅通(顧問)・大沼高校演劇部
 
 この作品も東北大会で観ていて、感想も書いている。その時は疲れから集中しきれなかったが、今回はちゃんと観た。しかし、感想はあまり変わらなかった。
 教室部分が照明で区切られている(これは新しい工夫か、前からこうだったか?)。下手に教卓、上手に机とイスが並んでいる。
大震災で浜通りから会津に避難してきたが、九州に再避難する被災生徒のお別れ会という設定だが、メンバーは偶々いた生徒の寄せ集めで、はじめからバラバラである。早く帰りたい子、なんとか盛り上げようとする子。被災して「生き残った」あるいは「死ななかった」、確率50%の世界にいる生徒と被災しなかった生徒との温度差を描き、そこに何らかの共通の結論(絶対に忘れない!)を見いだそうとする試みだろうか。ゲームの場面が多いが、その中から生徒たちの抱える問題が垣間見られるような作り。
しかし、二度観ても被災者と非被災者との決定的な違いがよく分からなかった。そのせいか、主人公(再避難する子)に対する共感が持ちにくかった。これは自分の感じ方の問題なのかも知れない。
 最後の主張(Our Last Question)はしっかりと観客に伝わったか?
 
 
 終演後すぐに、余韻に浸る間もなく会場を出ていわき駅に向かう。夕食を食べるには微妙な時間しかない。駅弁も売っておらず、かろうじて郡山駅で閉店間際の立ち喰いそばを食べる。帰路は指定席。深夜、日の変わる前に帰宅。春フェスの旅、終了。