脚本について2

 9年前、前任校で愛好会を作ったとき、旗揚げの校内公演で「流れ星…見えた」を上演した。札幌の米永道裕先生の作品だ。これもかなり台詞を削らせていただいて上演したと思う。吃音の少年と病気の少女の話だが、人形を身代わりにしないと自由に話せない少年が、少女の励ましの言葉に支えられて(少女の死後に)人形から離れ、自立するという流れだ。それが好きで、より強調するため、少年が依存から脱却しようと、人形を床に叩きつける場面を書き加えた。少女の死をどうしようもなかった自分、少女の励ましに答えられなかった自分のふがいなさに、少年の怒りは内向し、医者から渡された人形を思い切り叩きつけ、殴り続ける。看護師や医者、母親が驚いてそれを止める。
 視聴覚室の黒板に暗幕を背景幕がわりにし、1KWのスポットが2台あったので物理教材のスライダックで調光し、舞台サービス会社から星球を借り、手作りの流れ星をテグスを張って流した。(これが結構考えた仕掛けで、ヒモを引き、留め具から外れると点灯して落下する) スポットライトのフィルター用フォルダは、舞台サービス会社の中古品をもらってきて使った。
 上演を記録したビデオを米永先生にお送りしたところ、そちらの部員の皆さんで見ていただき、丁寧な感想を送っていただいた。上演のビデオに作者が感想を返してくれるのは稀なことなので、大変ありがたかった。