あと四日で卒業式

 まもなく卒業式という時期になった。今日の国公立2次試験に向けて小論文、面接の指導をしていたが、今年は文化芸術関係の進路を目指す生徒が主だった。すでに推薦では静岡文化芸術大学に1人合格しているが、一般入試でも目指している生徒がいる。みんなの健闘を祈る。

 既に進路が決まっている3年生に、3月19~20日の置賜地区合同発表会に飛び入り参加で何かしないかと言ってみたが、何しろ急な思いつきだったので引っ越しと重なって無理だと分かった。来年もあるなら、もっと早い時期から企画させてみたいが、進路の決定をみないうちは動けないし、1・2年生は4月の定演の準備で手一杯だしで、なかなか難しい。

 3年生は4月の末に定期公演を終えると部活動を引退してしまうので、もうずっと1年近く部室では見ない。授業で顔を見るだけである。運動部のように5~6月の大会ならもっとできるのだが。運動部が新人大会をしている時期に全国予選の大会をやっているのだから、かなりずれている。
 東北大会を12月にやって全国大会が8月ではあまりに時間が開くし、学年が上がるので役者の生徒が変わってしまう。この問題はずっと懸案なのだが、いっこうに解決されない。
 運動部と同様になった場合、今の年間スケジュールは一変して、2月の冬期公演が新たな定演の時期に変わるかも知れない。地区大会に3年生が多く参加するようになれば、役者の演技力は確実に上がり、上演作品の質も高くなる可能性はあるだろう。

 地区でも県でも生徒講習会、リーダー研修会などを実施しているが、単発ではなかなか日々の部活に浸透しない。もっと日常的な研修の場、機会が必要だと強く思う。
 また、各校の部が単独で出来ることにも、部員数や男女の比、指導者の有無などの条件によって限りがあるだろう。それに加えて、お互い他校の部の活動に無関心で、それぞれが蛸壺的な活動になってしまってはいないか。

 地区大会で終わってしまう場合、県大会を観ることもなく(他地区開催だと行くのは遠い)、東北大会を観ることもなく、全国大会は一部を放送で観るかもしれないが、観劇(高校演劇に限っても)の経験が絶対的に不足する。(地元アマチュア劇団の公演は観るかも知れないが)
 経験が不足すると、物事を客観的、批判的にみる力がつかない。井の中の蛙ということだ。それではどこまで経験すればいいのかといっても、果てはないので解決点はないわけだが…。

 少年野球にも、甲子園経験者の大人が指導したりする。指導者は、野球にはセオリーがあることを教えてくれる。投打攻守の技術指導もしてくれる。練習試合では勝敗という形で自分たちの実力が明らかになる。
 しかし、芸術文化活動に於いては試合の勝敗という形では実力が示されない。演劇の大会は「合同発表会」であり、そもそも芝居に優劣はない(つけられない)という考えもある。大会は祭りだ楽しめと言われることもある。単独自主公演ならなおさらである。
 だとすれば、より一層のこと、「自分たちで」表現の内容、方法を吟味し高みを追求しなければならない。でなければ発表会が単なるお楽しみ会で終わってしまうことさえあり得るだろう(それでよいという考えも必ずしも否定はしないが)。
 自分たちの活動を客観的、批判的に見る視点が必要だし、それは指導者がいなければ部員自身が持たなければならないものであるだろう。自分たちにその力が足りないと感じたら、外部の指導者に学ぶ機会を逸してはいけない。積極的に講習会、研修会に参加すべきだろう。

 近隣の数校が、土日に一緒に練習してみる機会を月1回くらい持つという試みをしたいのだが、おそらく参加者は見込めない。経験豊富な部はそんな必要を認めないだろうし、逆の場合は消極的になり遠慮してしまうだろう。さらに、休日の活動では顧問の勤務ということがある。多忙な中でさらに余計な負担を強いるわけにはいかない。若い未婚の人か、子育てが終わって暇な年配の人でないとできないだろう(年配でも老親の介護とかあるし)。

 というわけで、悶々と考えているうちに自分の高校演劇部顧問人生も終わりに近づいている。あとは任せて消えるのみだが、そのうち県内高校演劇部の火の方が消えてしまうかも知れない。
 これまでの経験が何か役に立つのであれば、いつでも協力は惜しまないつもりではいる(お邪魔になるなら引っ込みますが)。