学校始まったがまた休み

 昨日始業式。体育館は寒い。式の間はコートを脱いで床に置く。女子高の校歌斉唱は天使の歌声。
 大掃除、課題テスト。来週火曜日もテストがあるので、この3連休、部活なし。
 
 【高校生の初創作について】
 生まれて初めて書くものだから未熟なのは当然。ただ、何か光るものがあればそれを伸ばせば良い。最初の1作を書いてそれで満足するなら何でもいいわけだが、これから何作も書いて、よりよい作品を産み出したいと思うなら、必要なことはまず
 
 ① 脚本の体裁として、時、所、登場人物の設定を初めに書いておく。
 ② あらすじを書く。1頁にまとめてみると、自分が何を書きたかったのか、何が書けていないのかが分   かる。話の骨組みがしっかりできていないと、いくら面白そうな台詞を重ねていっても良くならない。   書きたいことを整理し、1幕の短編にあまり盛り込みすぎないこと。
 ③ 不要な登場人物、本筋に関係ない人物を出さない。不要な会話を減らす。ネーミングもやたら外国   人の名前や番号、きざな凝った名前を使うのはあまり勧めない。
 
 これらのことは、人に読んでもらう際にも必要なことだろう。次に題材、内容などについて
 
 ④ 若い自由なイマジネーションは大切にしなければならない。しかしありがちなことだが、ファンタジッ   クな(SF的な)世界観は、作者独自のものであればあるほど、読者(観客)には理解しがたい。そこ   を乗り越えて芝居に引き込むためには工夫が必要だ。その世界をできるだけ真実味をもって描かな   ければならない。人間以外のもの(擬人化された動物、人形、ロボット、宇宙人、童話の登場人物    など)が登場する場合も同様。台詞でくどくど説明するのではなく、芝居で理解してもらうように。
 ⑤ 安易に夢や非現実的存在に頼った書き方をしない。現実の問題を深く考えることが第一。地球的   規模の問題(地球温暖化、環境破壊のもたらす結果など大きなテーマ)を扱うのもいいだろう。しか   し、高校生の日常をよく観察し、学校で起きる事件の背景や、同級生、先生の内面を想像してみる   と、そのままでも十分にドラマになることに気づく。どうしても必要と思った時だけ、夢や非現実的存   在を出すこと。(絶対出すなとは言いません。芝居ですから。)
 ⑥ 殺す、殺されるという結末は問題の解決につながらない場合が多いので使わない方が良い。
 
 書き方(設定)について(ここは人によってかなり考え方が違うので、あくまで参考として)
 
 ⑦ 場所を1つにするのが原則。(ただ、話によっては逆にどんどん変わってもよい。)
 ⑧ 時間の流れはできるだけ1方向に。回想場面にもどるときは読者が混乱しないように明確に分け    る。(いわゆる「三一致の法則」にきっちり従うのは堅苦しいが、基本として頭に入れておくべきであ   ろう。)
 ⑨ 主役を明確に設定する方が良い。「みんなが主役」もあるけれど、芝居を進める視点を固定する方   が分かりやすいし、読者(観客)も感情移入しやすくなる。
 ⑩ 台詞を、簡単なやりとりにしない。(これは難しいでしょうね)ポンポンと漫才やコントのように言わ    せない。突っ込みと受けにしない。言った後の気持ち、聞いた時の気持ちをよく考える。言ったから    どうなったのか、聞いて何が分かり何が分からなかったのか、どんな変化が生じたのか生じなかっ    たのか。互いの内面への影響を測ることができるようにする。
 ⑪ 脚本の前後で関連し響き合いがあるように伏線を張る。ただし、あまり見え見えな仕掛けも感心し   ないのでさりげなく。(伏線を張るのは高校生でも結構できると思います。)
 
 以上書いてみましたが、これは今まで何度も高校生の書いた物を読んできた経験から思っていたことです。あくまで私的原則なので、これに合っていなくても傑作という芝居はあります。ただそれは高校生作者の力量である以上に、演出や効果の力が大きく関わっているのではないでしょうか。
 
 高等学校の演劇部である以上、教育的意義があるべきですから、生徒創作はもっとあって然るべきでしょう。しかし才能のある人材は少ないので、集団の即興の中から作り出すという方法も良く行われます。が、それが教育的活動を超えて芸術的創造に至るかどうかはまた別問題であり、大会の審査が「教育的活動への評価」ではなく、作品そのものへの評価である以上、エチュードから生まれた生徒創作が既成脚本や顧問創作に勝ることは難しいのが現状ではないでしょうか。
 
 教育的といえば、かつて、部員が1人だけで他は助っ人という芝居が、審査の中で「これで部活動と言えるのか?」という視点から低く評価されたことがあるやに聞いたことがありますが、そういう観点は排除した方が逆に公平と言えるかも知れません。部員数が作品のレベルを決めるわけではありませんから。でも一人芝居に最優秀賞をもっていかれた大人数の部(練習も大変だったに違いない)の心境も推察されますが。