65点

 19日午前中通し、60分59秒。衣装が出来そうなので、さらにナレーションを削り、制限時間内に収まりそうである。顧問評価は65点。
 もう一押ししたいと思う場面は60点だが、まあいいことにして、他の場面で退屈なところを一押しする。変えたことによる前後の微調整は20日に持ち越した。自分は今、良い感じに作品から距離が取れていて、稽古を見ながら生徒演出にどうだと聞いて、いっしょに考えているとアイデアが出るので助かる。気持ちがいっぱいいっぱいではない。演出でこれほど生徒を信頼したことはない。
 終わって帰る1年生が、職員室の窓越しに「先生ー」と手を振って行く。お疲れ様。地区大会前の稽古も明日が最後だね。勉強もがんばるんだよ。
 
 高校演劇がなぜ60分なのかは、大会運営上の制限からだろう。音楽部の(合唱連盟の)東北大会には中高一般で千数百名が参加するという。高校だけで40数校が参加とのこと。これに対し、演劇の東北大会は高校だけで13校の参加である。1校の上演に1時間かかり、リハーサルも必要だから日程上の限界があって、2曲歌って終わる合唱とは参加規模が異なるのだ。
 あるいは、高校生には60分以上の演劇は難しいだろうというのかも知れない。しかし、高校の自主公演では平気で2時間の作品も演じられているから問題はないだろう。ただ少人数の部の場合、2時間は厳しいだろうから、公平を期する大会では60分くらいがいいのかもしれない。
 だが60分の演劇には、やはりできることの限界がある。90分以上の2幕物であれば、1幕目が導入で2幕目から大きく展開し、前半を覆す(深める)構造にできる。60分はどうしたって1幕物の時間だ。この時間でどれだけのことが表現できるか。抽象度を高めてゆくか、写実性を高めていくか。後者では事実を伝えるために時間の壁が大きな問題になるが、前者では寓意を用いることでさほど時間を必要とせずにできそうである。あるいはパフォーマンス重視の表現にすれば、60分は十分な時間かも知れない。
 自分は、「台詞が最も重要なのだ」という先輩の教えを尊重しており、今のところ後者の行き方で考えている。(台詞以外を軽視しているわけでは決してない。)