山形演劇鑑賞会第369回例会 『萩の咲く頃に』

 2月5日(火) 18:30開演、20:20終演 休憩無し 山形市民会館大ホール

 開演前、緞帳の代わりに黒紗幕が下りている。冒頭の東日本大震災3月11日の場面はこの紗幕の裏で演じられた。大津波警報の音が不気味だ。(これは山形西高演劇部-劇団山形3号の『七夕とチョコレート』でも、効果音に使用している)
 前半はこの物語の背景説明のために費やされた。鈴の音によって区切られる回想シーンが、息子以外は現在の衣装のままなので、初めは観客にとって了解されないので混乱するが、次第に理解されてくる。
 後半になり状況説明が終わると余裕が出てきて、台詞の間も取れてきて芝居らしくなった。そうなると役者さんの熱演(音無さん大和田さんも本当に父母として泣いているようだった。息子役の西尾さんもかなり良く演じていた)で舞台の世界に引き込まれていった。それは心地よかった。
 ただ、必ずしも大震災がなくても成立する話のように感じた。家族の再生というテーマにどれほど関わりがあったか?

 美術は下手が尺高の座敷(下手袖が仏間の設定)、奥に廊下(庭木が見える)。上手が続きの洋間で、ダイニングテーブルと椅子、食器棚。上手袖が台所の設定。舞台手前にも下りられる(この部分への照明にかなり多くの灯体を使っていた)。ホリゾント使用。ほぼ青空。幕切れにプロジェクターで舞台(暗くなっている)全面に萩の花びらが散るのが印象的だった。最近はこういったプロジェクション・マッピングをよく見るようになった。