頑張れ

 第2稿が上がってきた。早速印刷して配布、全員が読んで感想・意見を述べる。64頁ある。
 長くなった分、登場人物や要素が増えている。本筋がどれなのかが分かりにくくなったかも知れない。
 大きな改作が必要だろう。
 テーマは何か。そのテーマで観客にどんなことを伝えたいのか。部員一人ひとりが、高校生の今の自分の持つ不安や期待や願望を、しっかり見つめて向き合うことが必要だ。

 顧問の旧作にすがりたくなる気持ちは分かる。9日には自分も傾いた。が、やはり難しい道を選ぶべきではないか。顧問が書いた台本で県大会に出て、そこから先が「壁」なのは、結局、演じる高校生がその作品にどれだけ理解を持っているか、共感しているか、にかかっているのではないか。
 60代の顧問が頭と心を尽くして書いた台本が、必ずしも今の10代の高校生にマッチしているとは限るまい。部員自身の中から出てくるものを見たい。そんな気持ちでいるわけだ。
 悪戦苦闘してほしい。ぎりぎり苦しんでみてほしい。頑張れ。


 アトリエ公演について、1年生に聞いてみた。「スターライト・マジック」を演じた1年生。児童劇団出身の子がいて、いろいろ言ってくれる。お母さんが東京でエッセイか何かを書いていたという人だそうで、台本も書いているらしいので、ぜひ読みたい。
 そのお母さんが、「七夕とチョコレート」を(ビデオ)で観て、泣いていたということを聞いた。ビデオは生で間近で観るのとは全然印象が違うし、今回ピンぼけだったのであまり良くないと思っていたのだが、それでも十分伝わったのだと思って嬉しかった。

 「七夕とチョコレート」は東日本大震災を踏まえているが、なんと、1年生部員の中に福島県出身の子がいて、小学校5年生で南相馬の家で被災したのだという。その後山形に移って来たのだ。
 実際に被災した人にとって、この作品はどのように受け止められたのか、不安になって聞いた。
 震災直後、大津波警報後のパニックはあんなものだったと言う。
 劇を観て、泣きはしなかったが、心では泣いていただろうと。

 この作品をやりたいかと聞くと、やらないと言った。

 自分はこの作品を、再演し続けるつもりだ。いつかは被災地で…。