蔵王も初雪とか

 今回のうちの上演に対していただいた講評を掲載させていただきます
 まず、地区大会の講師の方の講評。明らかな誤字脱字以外はそのまま打ってあります。
 
…………………………………………………………………………………………………………
 
鈴木悠平(わらび座
 
 戦時中の学校に起きた悲劇をOGである皆さんでしか描けない再現できない。そんな思いを頂かせる舞台でした。
 エリザベス役を演じた子のピンとした姿勢やユキのおおらかな雰囲気。
 当時の山形第一女の皆さんの山形なまりの言葉遣いなど部活動以外の普段から鍛錬を積んできているのではないでしょうか。
 私からは演出面での改善点を挙げさせて頂きます。
 観客の気持ちの切り換えのきっかけを見直してもらいたい。
 今回はストーリーが時系列順では無いために場面ごとに集中が1度途切れる形になります。語り部が出てきて5W1Hを説明してくれますが、途切れてからの場面の導入を見直すことで観客をより引き込む事が出来ると思います。
 
 
…………………………………………………………………………………………………………
 
安藤稔己(椎野学園米沢中央高校顧問)
 
 とても良い舞台でした。役者さん一人一人がとても自然に演じていたということと、よく研究されているな、ということが、観ている側を、舞台の上の時代に引き込んでいくような印象でした。登場人物が多く、特定の誰かが抜きん出て素晴らしいというよりは、とてもバランスの良いキャストだったと思います。いいセリフ、場面を、すんなりと観客に聞かせられると、この舞台のメッセージ性が際立つと思います。
 過去のことを描いてはいますが、昨今の世界情勢にまで切り込んでいく作品だったと感じています。と言うのも、時代が変わろうとも、変わることなく私たちの目の前には国家間の対立や偏見が横たわっているからです。
 劇中、ユキたちと乾たちが徐々に仲を深めていくところがよかったです。目の前の相手を超えた「国」に対する感情は、なかなか抑えられるものではないでしょう。当時なら尚更だったと思います。その感情の起伏・変化をしっかりと演じることができるというのは、日々の練習の成果だと思います。国同士ではなく、あくまでも個人として交流すれば、決して理解しあえないということはないんだということが伝わってきました。
 劇の前後、そして劇中にメタ的な発言や演出がありました。あれの目的は何だったのでしょうか。「戦争」や「校舎焼失」という重く暗い題材を演じるにあたって、あのメタ表現をどう捉えていいのかが、見ている側にとっては少々の疑問になるかもしれません。
 私個人としては、重苦しい雰囲気を切り替える目的だったと解釈しましたが、このテーマを貫くならば、メタ表現を余計に感じる人も出てくるかもしれません。
 演出と言えば、空襲の場面の悲鳴は強烈でした。人の多さがあっての演出だとも思いましたが、逃げ惑い倒れてゆく人々や、生き残った人々の悲しみや憎しみといった感情などが、溢れるように伝わる場面だったと思います。また、倒れた人々が暗い照明の中で起き上がり、迫ってくる場面も、亡霊が迫り来るようで、悲しさと不気味さがあって、視覚的な印象はいちばん強かったです。
 印象的だったものに、いくつかのセリフがあります。この時代、この人たちだったからこそ言える言葉というものがあると思いますが、聞こえにくかったのがもったいなかったです。音響の問題も役者の問題もあると思いますが、とにかく大きく声を出してくださると、見ている側に強く響くと思います。
 
…………………………………………………………………………………………………………
 
 いただいた講評に従って台本を少し変えました。
 
 続いて県大会生徒講評委員からの講評。生徒講評委員は各地区の次点校から出て来ます。
 
…………………………………………………………………………………………………………
 
上演7 山形西高校 「さくらながるる」
 
 私がこの作品で特に印象に残ったのは、空襲の場面です。人がバタバタ倒れていく光景は、戦争を経験していない私たち高校生でも、その悲惨さが伝わってきました。
 
 まず作品を見て感じたことは、「戦争の残酷さ」です。今の私たちと同年代の女の子が戦争のせいで尊い命を失っていく場面を見るのは辛いものがありました。ですが倒れた彼女たちが起き上がって、戦争の不条理さを嘆く場面には迫力があり、セリフにあった「時代の犠牲者」の叫びのようなものを感じました。
 また、「価値観の違い」や「物事の見方」について考えさせられる場面も多くありました。特に印象に残っているのは「どちらも悪魔ではなかった」というセリフです。やはり戦時中は敵国のことは無差別に爆弾を落としてくる「悪魔」にしか見えないと思います。ですが、エリザベスと三人の女学生のように、戦後にお互いの考えを分かち合っていくことのできる未来はすてきだと思います。その一方で松島のようにアメリカ人を敵視してしまうこともしようがない事なのだと思いました。人それぞれ戦争に対する思いがあり、傷を抱えています。それを尊重しあうことが大切なのだと感じました。
 
 演技は申し分のないリアリティあるものだったと思います。発声や表情まですべてが戦時中や戦後の彼女たちそのものでした。装置はとてもシンプルなものでしたが、自然とその背景を感じ取ることができました。それもやはり、役者の高い演技力と語り手の雰囲気作りがあるからこそだと思います。また、英語のセリフもとても流暢で違和感なく見ることができました。山形西高校さんの演技には学ぶことが多く、とても勉強になりました。
 
 この舞台を通して、戦争の残酷さやお互いを尊重することの重要性を再確認することができました。また、戦争で起きたことを忘れずに語り継ぐことも大切だと思いました。
 
 文責:山形市立商業高校 Aさん
 
…………………………………………………………………………………………………………