音楽劇 母さん~サトウハチローの詩と母のものがたり~

 7月4日(日)13:30開演 シベールアリーナ(井上ひさし氏の蔵書を収めた遅筆堂文庫分館がある所) 上演時間2時間半くらいか(休憩あり) 山彦の会
 幕が上がっていて、中央に直径2間くらい、尺高の円形の台がある。しかし、廻り舞台ではない。そのまわりに同心円状に1間幅の台があって、これは開帳場になっている。手前は舞台面に下りている。下手は斜面で、上手は階段2段で下りてくる。舞台奥に袖から出入りする通路がある。さらに、下手の斜面に食い込む形でピアノがある。これは生演奏する。その隣でバイオリンも演奏。上手にはもう一本袖への通路がある。間口は6間くらいあるのだが、袖幕が少し邪魔なようで、袖側に引っ張ってあった。背景は中割幕。サトウハチローの絵が描いてある幕が3枚吊ってある。左右が1間幅、中央が1件半幅。これらは、最後に飛んで、背景の菜の花畑?が現れ、母とハチローが仲良く花を見るところで終わる。
 母恋物語である。泣かせる。歌の力が大きい。歌はたった数分間で一つの世界を作ってしまい、聞く人を引き込む力がある。音楽劇だからこれでいいのだろう。でも芝居はいまひとつ感情移入できないうらみが残った。演技がどうも、演技だなあと見えてしまって、感情がそこにありありと描いてあって、ホントはこの人どう思っているの? と突っ込んでしまうのは、自分の見方が良くないのか。
 過去と現在が行き来する構成が、もう少し整理されていると分かりやすかったかもしれない。
 でも、歌の力が芝居に加わると、やはり強いかなと思った。人の一代記だから、ナレーションで進めるのも有効だろう。しかし二役は忙しそうだった。
 観劇中に強い雨が降ったようだが、幸い、出たときはもうあがっていた。